2022年4月3日日曜日

欺す衆生 / 月村 了衛

嘘というのは、元々人類にはなかった観念らしいのですが、文明が生まれると共に嘘をつき騙すという手法が発明されました。
嘘を知らなかったマヤ人はスペイン人に滅ぼされ、同様にネイティブ・アメリカンはイギリス人に騙され土地を奪われ、アイヌ人は江戸幕府役人に富を奪われ、という歴史があります。
現代でも詐欺が横行してなくなることがないのですが、その詐欺のやり方もどんどん巧妙になっています。

さて本作ですが、前半だけ読んでいたら楡周平氏の小説?と思いそうな内容ですが、後半にはかなりドロドロした血生臭い展開になっていって、ああやっぱりこれは月村氏の小説だなという感じになっていきます。

詐欺とは如何に巧妙に行われているものか、一度本書を読んで知っておくのが良いのではないかと思います。
テレビドラマでもこういう詐欺師を題材にしたものが、よく登場していて、そういう連中がこの世に存在することをみんな知っているはずなのに、コロッと騙されるんですよね。

 

御館の幻影 / 近衛龍春

実際にこういう人がいたのかどうかは、北条家についての読み物はあまり読んだことがないので、知らないのですが、戦国末期の北条家の様子については、史実を忠実に再現されているのかなという気はします。

近衛氏の小説は、まだ数冊程度しか読んでいませんが、どれも文章のテンポがよく読みやすく、ついつい小説の中に引き込まれていく魅力に溢れています。

地図でスッと頭に入る縄文時代 / 昭文社 出版 編集部

縄文時代についてを一般の人にもわかりやすく解説したものです。
縄文時代とはどういう時代だったかを、簡単に知りたい方にはお薦めですが、ある程度既に色々な書物などで知識を得ている方には物足りないかと思います。
最新の研究結果が反映されている訳でもなさそうなので。

人類の起源-古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」 / 篠田 謙一

アフリカで生まれた人類の祖先が、どのように世界に広まっていったかを、DNA解析に基づいて解説されたものです。
日本人のルーツに関しても、DNA解析を元に説明されているのですが、縄文人のDNA解析結果は北海道・東北の縄文人のデータだけで、西日本や関東・中部地方などのデータがないのに「縄文人のDNAは日本全体で均一」という前提で西日本の縄文人DNAも東北のものと同じことにしているのが、どうも納得いきません。

弥生人は「大陸や半島から来た人達と縄文人が混血した」という前提に合わせる形で、データを示しているような気がして、気になりました。
別の書籍で、九州北部の縄文人DNA解析で、九州北部の弥生人や現代人のDNAとほぼ同一なものが出てきているとのことですが、それに関しての記述がありませんしね。