2001年8月5日日曜日

【BMW雑記帳】新車中毒

今月のMotorMagazineのコラムに、日本のメーカーは新車中毒に罹っているのではないか?というのがあります。欧州車が6年以上は売り続けることを念頭に開発されているのに対して、日本車は発売直後の数ヶ月に売れればいいという考え方で開発されているのではないか?という話なのです。
確かに日本車は発売直後にワッと売れるけど、半年も経つともう売れなくなるものがほとんどですね。それに対して欧州車は、何年経っても古びた感じがせず、モデル末期までコンスタントに売れるようです。
これ新車販売にだけではなく、車の寿命も同じような感じがします。日本車って、発売直後に買っても1年も経ったら、もう旧モデルのような感じになりますよね?乗ってても1万kmも過ぎるとあちこちにヤレが来て、中古車!という感じになりますしね(苦笑)。
それに対して、欧州車はモデル末期になっても、まだまだ新鮮な感じがするものが多いですよね。乗っててもあまりヘタりやヤレは感じないし。私のtiなんか3年、23,000km乗っても、やっと慣らしが終わったかな?くらいの感じですから。まだ新車だと思ってたら車検ですからねぇ。国産車だと、3年も乗ったらもうそれ以上は乗る気にはならないですよねぇ。だから今までは車検を受けたことがなかったんだけど(笑)
考えてみれば、車に関わらず多くの工業製品が同じことが言えると思います。カメラやレンズなどは、欧州製の物は長く使うことを前提に作られていますが、日本製は数年で使い捨てするつもりで作られているようにしか思えません。
とはいえ、昔から日本がそうだったかと言えばそうではないんですけどね。日本の伝統家具や着物などは代々受け継いで使われることを考えて作られています。カメラなども40〜50年前のものは、長く使われることを考えて作られています。じゃあいつからこういう風になったんでしょうね?
一つは品質管理によるコストダウンというのが導入されてからではないでしょうか?品質管理というと、一般の方には品質を向上させることだと思われるでしょうね。けど技術屋として言うと、品質管理というのは過剰品質をなくして、必要最低限まで品質を落とすことなんです。
例えば、BMWのエンジンは20万kmくらいは持つそうです。しかし日本のメーカーの場合は、10万kmくらいを寿命に想定しています。で、品質管理的にいいのは、10万kmで壊れるのがいいのです。これが20万kmも持ったら過剰品質ということで、品質管理的にはダメなのです。
けどユーザーから見れば、過剰品質というのは本来ないんですよね。シャーシもエンジンも10万kmという考えは、メーカーの都合なんですよね。ユーザーにすれば、100万kmでも保ってくれるのがいいわけです。或いは、カタログ馬力が200PSだから、ブロックやヘッドは200PSに対応すればいいというのもメーカーの都合です。ユーザーにしたら、チューンして1000PSにしても壊れないような、ブロック・ヘッドが欲しいですよね。
昔は品質管理がキチンとしていなかったし、壊れることが多かったから、過剰品質で作るしかなかったんですね。それが品質管理がキチンとできるようになってきて、どれくらい品質を落とすとそれくらい持つかがはっきりしてきたから、ギリギリの品質で作れるようになったわけです。
古い車がいいというのは、こういうことが原因でしょうね。しかし今後欧州車メーカーの品質管理技術が上がって来ると、ギリギリまで品質を落として来て、想定された寿命でキッチリ壊れるようになるんでしょうかねぇ??