久々に【ZEISSコラム】のタイトルで。
今月のカメラ雑誌は、Nikon D200の特集で賑わっていますね。D2Xを買おうかと悩んでいましたが、D200にするかD2Xにするかの悩みに変わりそうです。
いやその前に、Canon 5D + Y/C->EOSアダプタで、CONTAXレンズでデジタルにするか、という悩みもあるんですけどね。
銀塩フィルムは、もう5年くらいは大丈夫だろうと考えていたのですが、ヨドバシのフィルム売場が大幅縮小になり、気に入っているリバーサルフィルムはドンドンと製造中止になって来ていて、困ってます。中判のフィルムもいつまで手に入ることやら。とはいえ、ここ半年ほどはデジタルばかり使っていて、中判は全然なのですけど。
それはさておき、皆さんにはD200の記事よりも、日本カメラのF6テストレポートに注目して欲しいです。
日本カメラのテストレポートでは、レンズの性能評価にハウレットチャートというのを使用しています。でもデジタルカメラの評価の時には、何故かレンズ性能測定にはハウレットチャートを使わないんです。なので、久々にハウレットチャートによる、レンズ性能測定が出ています。
アサヒカメラの解像力テストやMTFテストのように数値でいくらって出るわけではないので、よくあちらこちらのBBSなんかではアサカメのテストの数字は引用されますが、日カメのハウレットチャートの結果は引用されることはないです。テストの意味も判らず数字だけを得意げに並び立てる人ばっかりってことですわ、要は。
ハウレットチャートの結果の理想像は、中心が最高得点の円で、その周りを同心円が取り囲み、外側に行くに連れて得点が減っていく、というものです。が、'90年代半ばまで、CONTAX以外の国産レンズで、それに多少なりとも近い形の等高線を描いていたレンズは皆無です。
これは何を意味するかというと、CONTAX以外の国産レンズはどれも設計図通りに製造できていなかったということで、ほとんどは偏芯しまくっていたと思われます。
以前このコラムでCONTAXレンズの当たり外れのことを書きましたが、その後どうも「Zeissのレンズはバラ付きが多い」という誤解にすり替わっているようです。まあある意味では他の国産レンズは、CONTAXレンズに相当する当たり外れはないのですけどね。外れどころか、Zeissの検査官がゴミ箱へ捨てるようなものしかなかったんだから。
それが'90年代も終わりになってから、徐々に理想に近い形になってきてまして、今月の日カメで測定されているNikonのレンズなどは、'80年代のCONTAXレンズに並ぶくらいに綺麗な同心円を描いています。
まあこのコラムを読んでから日カメを見た人は「これのどこが綺麗な同心円だ?」と思うかも知れませんが、フィルムの平面性の問題もあるので、あれでも綺麗な方なのです。国立図書館とかに行けば、'80年代とか'70年代の日カメが閲覧できると思いますので、比べて見て下さい。その頃のチャートがどれくらいぐちゃぐちゃだったかを。
Nikonのカメラ部門の部長さんが、'90年代終わり頃に代わったそうなのですが、その頃からNikonレンズの設計方針がかなり変わってきていると感じています。解像力重視から、コントラスト再現性重視へと。そのせいで、最新設計のレンズは、古くからのNikonユーザーには「前のモデルよりも解像力が落ちている」と不評なことが多いんですけどね。しかし製造の精度が上がってピントの切れがよくなってきて、レンズのバラ付きも判るようになってきていて、判る人達はNikonでも当たり外れがあることを知っています。
当たりと外れってそんなに違うものか?と思うかも知れませんが、まあ...使っていて何も感じないなら、幸いお使いのレンズ全部が当たっているか、或いは全部外れか、でなければ違いが判るだけの目をお持ちでないってことなので、気にすることはありませんけど。
2005年11月19日土曜日
2005年11月18日金曜日
ハイブリッド −新種−
ハヤカワSF文庫 ロバート・J・ソウヤー著 内田 昌之 訳
「ホニミッド −原人−」「ヒューマン −人類−」に続く、ネアンデルタール・パラドックス第3弾です。で、今回で本シリーズは終了と。3部作というよりは、長編小説3巻というストーリになっています。なので、まだ先の2巻を読まれていない方は、そちらから順番に読んで下さい。でないとさっぱりストーリが理解できませんので。
しかし各章の冒頭に引用の形で書かれている、小説の中の世界の米国大統領の演説は、このストーリと結局どういう繋がりがあるんだか...。
「ホニミッド −原人−」「ヒューマン −人類−」に続く、ネアンデルタール・パラドックス第3弾です。で、今回で本シリーズは終了と。3部作というよりは、長編小説3巻というストーリになっています。なので、まだ先の2巻を読まれていない方は、そちらから順番に読んで下さい。でないとさっぱりストーリが理解できませんので。
しかし各章の冒頭に引用の形で書かれている、小説の中の世界の米国大統領の演説は、このストーリと結局どういう繋がりがあるんだか...。
2005年11月16日水曜日
2005年11月15日火曜日
徳川三代の情報戦略
学陽書房刊 童門 冬二 著
先日の「結城秀康」でもそうでしたが、2代目将軍秀忠という人は、凡庸と言われつつもその実かなりの名君だったようです。
関ヶ原の合戦に遅参するという大失態を演じたことや、戦大将としての武功はほとんど上げておらず、戦の指揮官としては無能だったのは確かでしょう。
また将軍在位期間のほとんどは家康が大御所として睨みを効かしており、家康没後それほどの間を置かずに家光に将軍を譲っており、政治家としてもほとんど活躍する間がなかったため、評価が低くなるのはしかたがないかも知れません。
が、その裏では家康が戦国の世を生き抜くために取った方策を、平和な世には無用になるものとして大転換を密かに図っていたようです。家光が凡庸どころか愚鈍といわれながらも、徳川将軍家の確固たる地位を固められたのは、この秀忠の働きによるもののようですね。
柳生といえば、剣術の大家であり、将軍家指南役として君臨していたわけですが、同時に柳生忍軍を率いた諜報部隊も兼ねていたんです。この柳生忍軍のルーツがどういうものか、今まで知らなかったというか、色々な戦国史を読んでも一向に出てこなかったのですが、本書でその謎が解けました。
先日の「結城秀康」でもそうでしたが、2代目将軍秀忠という人は、凡庸と言われつつもその実かなりの名君だったようです。
関ヶ原の合戦に遅参するという大失態を演じたことや、戦大将としての武功はほとんど上げておらず、戦の指揮官としては無能だったのは確かでしょう。
また将軍在位期間のほとんどは家康が大御所として睨みを効かしており、家康没後それほどの間を置かずに家光に将軍を譲っており、政治家としてもほとんど活躍する間がなかったため、評価が低くなるのはしかたがないかも知れません。
が、その裏では家康が戦国の世を生き抜くために取った方策を、平和な世には無用になるものとして大転換を密かに図っていたようです。家光が凡庸どころか愚鈍といわれながらも、徳川将軍家の確固たる地位を固められたのは、この秀忠の働きによるもののようですね。
柳生といえば、剣術の大家であり、将軍家指南役として君臨していたわけですが、同時に柳生忍軍を率いた諜報部隊も兼ねていたんです。この柳生忍軍のルーツがどういうものか、今まで知らなかったというか、色々な戦国史を読んでも一向に出てこなかったのですが、本書でその謎が解けました。
2005年11月13日日曜日
【BMW雑記帳】シルキー・シックス
BMWの直6エンジンの回転のスムーズさを例えて、silky = 絹の滑らかさと、よく言われます。
まあこう言われたのは20年近くも前のことで、その頃はまだエンジンの加工精度や組み付け精度が低く、BMWの精度の高い組み付けが、他のメーカーではできなかった頃の話で、今ではトヨタの方がスムーズということもよく言われますが(笑)
もっとも人間てのは変な感覚を持っていて、スムーズ過ぎると駄目なんですね。人がピストンエンジンを好むのは、トルク脈動という規則的な変動があるからだそうです。ロータリーエンジンはそれがあまり感じられないし、電気モーターもトルク変動は少ないので、回転が上がるに連れて血湧き肉踊る感じがでないんですね。
#電気モーターにトルク変動あるのか?と思う人がいるかも知れませんが、電磁石の曲数による変動があります)
最新のM5、M6に搭載のV10エンジンなどは、Vバンク角が90度ですが、オフセットクランクにはせずに、不等間隔爆発にしてトルク感を出しているとか。
モーターサイクルレースでも、同爆といって、4気筒でも各気筒を180度間隔で点火させるのではなく、同時に2気筒点火にして、不等間隔爆発にしてやって、ライダーがトルク感を感じやすくしているそうです。振動は増えるはずですが、その方がアクセルコントロールがやりやすいのだとか。
そのせいもあるのか、私は6気筒がどうも苦手で、4気筒大好き人間なのです。4気筒のちょっと振動がある感じが好きで、1シリーズもバランサー付きの120iよりも、バランサーのない116iの方が好きだったりします。もっとも、120iと116iの場合は、バランサーの有無以外に、ストロークが違うとか、バルブトロニックかどうかなどの違いもありますけどね。
そうそうBMWの6気筒がシルキーといわれる理由は、組み付け精度の他に、ストロークに対するコンロッドの長さがあります。
ストロークに対してコンロッドが短いと、ストローク中間位置でのコンロッドの傾きが大きくなり、ピストンがシリンダー壁に押しつけられる力が強くなる上に、ピストンの傾きも大きくなってピストンスカートがシリンダー壁に擦ってしまいます。これを嫌って、BMWではストロークに対してコンロッドの長さが長くなるように設計されています。
116iでは、排気量を下げるのにストロークを短くして、ショートストロークになっています。が、ブロックは共通なので、必然的にコンロッドの長さが長くなり、ストローク対コンロッド長の比率は、120iや118iに比べるとよくなるわけです。
私が116iのエンジンが、トルクやパワーは小さいのに、気持ちよく回ると感じたのは、この辺りも原因の一つかも知れません。
まあこう言われたのは20年近くも前のことで、その頃はまだエンジンの加工精度や組み付け精度が低く、BMWの精度の高い組み付けが、他のメーカーではできなかった頃の話で、今ではトヨタの方がスムーズということもよく言われますが(笑)
もっとも人間てのは変な感覚を持っていて、スムーズ過ぎると駄目なんですね。人がピストンエンジンを好むのは、トルク脈動という規則的な変動があるからだそうです。ロータリーエンジンはそれがあまり感じられないし、電気モーターもトルク変動は少ないので、回転が上がるに連れて血湧き肉踊る感じがでないんですね。
#電気モーターにトルク変動あるのか?と思う人がいるかも知れませんが、電磁石の曲数による変動があります)
最新のM5、M6に搭載のV10エンジンなどは、Vバンク角が90度ですが、オフセットクランクにはせずに、不等間隔爆発にしてトルク感を出しているとか。
モーターサイクルレースでも、同爆といって、4気筒でも各気筒を180度間隔で点火させるのではなく、同時に2気筒点火にして、不等間隔爆発にしてやって、ライダーがトルク感を感じやすくしているそうです。振動は増えるはずですが、その方がアクセルコントロールがやりやすいのだとか。
そのせいもあるのか、私は6気筒がどうも苦手で、4気筒大好き人間なのです。4気筒のちょっと振動がある感じが好きで、1シリーズもバランサー付きの120iよりも、バランサーのない116iの方が好きだったりします。もっとも、120iと116iの場合は、バランサーの有無以外に、ストロークが違うとか、バルブトロニックかどうかなどの違いもありますけどね。
そうそうBMWの6気筒がシルキーといわれる理由は、組み付け精度の他に、ストロークに対するコンロッドの長さがあります。
ストロークに対してコンロッドが短いと、ストローク中間位置でのコンロッドの傾きが大きくなり、ピストンがシリンダー壁に押しつけられる力が強くなる上に、ピストンの傾きも大きくなってピストンスカートがシリンダー壁に擦ってしまいます。これを嫌って、BMWではストロークに対してコンロッドの長さが長くなるように設計されています。
116iでは、排気量を下げるのにストロークを短くして、ショートストロークになっています。が、ブロックは共通なので、必然的にコンロッドの長さが長くなり、ストローク対コンロッド長の比率は、120iや118iに比べるとよくなるわけです。
私が116iのエンジンが、トルクやパワーは小さいのに、気持ちよく回ると感じたのは、この辺りも原因の一つかも知れません。
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