2007年8月18日土曜日

生物と無生物のあいだ / 福岡 伸一



いくつかの雑誌や新聞の書評で取り上げられ、書店でスペースを割いて置かれており、かなり評判のようです。
日経の書評でも文章の美しさが取り上げられていましたが、厳密で研究者らしい文章と並行して、美しく流れるような詩的な文章を書かれており、しかも読みやすく判りやすく、とても生化学研究者とは思えないくらい、文章のうまい方です。
で、タイトルとエピローグから、生物と無生物の違いを解き明かしてくれるのかと思いましたが、違いました。
本書の最後で、氏の研究で、とあるタンパク質の働きについて調べるため、そのタンパク質が生成する遺伝子を排除したノックアウト・マウスが、異常を来さずに正常に成長し活動する話が出てきます。調べた結果、卵子からの成長過程でそのタンパク質が欠落している場合は、バックアップが働き別のタンパク質が代替してしまうためだったのです。
その様を「テレビの部品を取り除いてどこが異常になるか」という例と比較して、生物と無生物の違いとされているのですが、いやそんなバックアップシステムは機械やコンピュータ・プログラムでも、入れることは可能だし、巨大なシステムであれば入れないといけないです。
なので、延々と本一冊読ませた結論がそれってのは...。

というか、この本を読んだ感想としては、生物というのはタンパク質を部品とした非常によくできた機械である、ということで、益々生物よ無生物の違いって何?となってしまいました。


2007年8月17日金曜日

デスランド



核戦争で滅亡寸前になった人類が、なんとか中世時代程度まで復活した時代が舞台です。放射能の影響で変異したミュータントと呼ばれる人類の亜種(人類とミュータントのハーフがいるから人種が違う程度のDNA差はないらしい)が登場する以外はSFっぽい設定はなくて、そのまま中世暗黒時代を舞台にしてもよさそうなストーリーです。
妖艶な悪女をトレイシー・ローズが演じていますが、「トレイシー・ローズってポルノ女優だったよな」とググって見たところ、年齢詐称で未成年なのにハードコア・ポルノに出演していたのがばれてポルノ業界追放された後に、普通の女優としてデビューし直したそうです。


宇宙空母ギャラクティカ



TVドラマのスペース・オペラでは、これも古典中の古典ですね。人類発祥の地である地球がどこだったか忘れられてしまうくらいに宇宙奥深くまで進出した人類が、再び地球を目指して長い旅に出るわけですが、映画なのでその発端程度しか語られていません。

映画とは全然関係なのけど、車田作「リングにかけろ」で出てくる必殺ブロー「ギャラクティカ・マグナム」「ギャラクティカ・ファントム」の名前は、ひょっとしてこれがヒントになった?


セックスと嘘とビデオテープ



'89年度カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作で、公開当時に結構話題になっていたなぁ、ということで買ってみました。
私にはさっぱり何が言いたいのか判りませんでした。
不能の独身男と不感症の人妻の恋物語ってところなのでしょうけど...セックスだけが恋愛ではないと言いたいのかなぁ。


2007年8月16日木曜日

RONIN



ロバート・デ・ニーロとジャン・レノ共演のアクション映画です。まあストーリはあんまり大したことはないですが、ガン・アクションとカー・アクションは見応えあります。
主演のデ・ニーロ、渋いタフガイを演じていますが、かっこエエです。私は歳の割に童顔で、実年齢より10〜15くらい若く見られるのですが、男の場合は「若く見られる=頼りない」という印象を持たれることが多く、仕事先でのはったりが効かないのです。なので、デ・ニーロとかジャン・レノみたいな「渋くて頼りになる」的な雰囲気に憧れてしまうのです。


バンディッツ



「死なない男」ブルース・ウィリス主演ということで買ってみました。
日本とアメリカでは銀行のシステムが違うから、この手法は使えないでしょうねぇ。アメリカでこのやり方を真似した銀行強盗は出なかったのでしょうか?
しかし考えたら、金は取りながらも、死人は1人も出てないんですよね。それを考えても、かなり巧妙なやり方だな。
最後の強盗もなかなか見事です。


2007年8月15日水曜日

エージェント・コーディ ミッション in London



マドンナが製作総指揮を執ったエージェント・コーディの続編です。今回もマドンナが製作総指揮を執っています。
娯楽映画としてはまずますだと思います。おもり役のCIA要員が、前作は有能なグラマー美女だったのが、間抜けなおデブな黒人男です。お笑い+ちょっとお色気あり路線から、完全にお子様用お笑いのみ路線になってますね。


2007年8月14日火曜日

The Hideous Sun Demons ライブ - 京都 都雅都雅

なんとか夏休みになって、行けました。でも今回は直前に行くことにしたので、撮影はなしで純粋に1ファンとして観てきました。
昨年のライブは、直前に決まった(確か1週間前)ので、ライブがあったのを知らずに非常に悔しい思いをしましたが、今年は溜飲を下げられました。残念なのは、ライブでは新曲が披露されていた(MCなし曲名紹介なしで演奏されたアルバムにない曲が2曲ほどあって、たぶん新曲ではないか)と思うのですが、New Albumに関しての話題が全然なかったので、果たして次のAlbumがあるのか...。
ちなみにドラムのRay Luzier氏は、Billy Sheehanのソロ・アルバムに参加するそうです。

前座に2バンド出演しており、そちらもなかなかだったような気もするのですが、H.S.D.の演奏が始まったら前座のことはすっかり頭から吹っ飛んでしまいました。ごめんなさい。ちゅーか、この人達の前座をしようというだけでも評価してあげるべきなんでしょうね。

ギターに引田氏は、相変わらず「ライブで何でこんなにクリーンな音が出せるの?」と不思議な気分にさせてくれます。途中で機材トラブルがあって(エフェクターが吹っ飛んでしまった)、後半はアンプ直での演奏だったのですが、それでもというかエフェクターなしの方は更にクリーンで分離がよくてなおかつぶっといサウンドで...アンプはライブハウスのMarshallで前座と共用だし、ギターも普通のフェンダー・ストラトなんだけど...どういうこと?

Luzier氏のドラミングも益々クレイジー度合いに拍車が掛かっていて、観ていて飽きないドラミングですね。しかし、スネアのスキン破るって...どんなよ!!!???

ベースの西本氏は、今回Wネックのベースですが、いくらネックが二つあるからって両方同時に弾くことはないでしょうに(苦笑)8フィンガー奏法の名手である西本氏ならではですね。この人も観る度にレベルアップというか、ドンドン人間離れしてきてるよ...。

こういう世界トップレベルの演奏を生で味わえる幸せ。けど、こんな小さな会場で1回こっきりというのはねぇ。今の日本ロック界の貧しさを象徴している気がします。




はじめての“超ひも理論”―宇宙・力・時間の謎を解く / 川合 光



5年くらい前にエレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明するを読み、その頃話題になっていた超ひも理論というものを知りました。内容はさっぱり理解不能でしたけどね(苦笑)でもそれ以降、超ひも理論により宇宙の構造が解き明かされる日を待ち望んでいます。解明できれば、ワープ航法や転送ビームが実現できる可能性がありますから(爆)
で、現在の超ひも理論がどこまで来ているかを知りたかったので、本書を買ってみました。「エレガントな宇宙」よりも判りやすく平易に書かれており、判った気になれる解説書です。
巻末に著者が提唱しているサイクリック理論という説が解説されています。まだ学会では一般的に支持されている説ではないのですが、私的にはインフレーションという不自然(だってビッグバン極初期の宇宙膨張速度が光速を遙かに凌駕するてのは納得いかない)な説よりも、徐々に拡大しながら成長していくサイクリック理論の方が納得できます。

あ、それと「エレガントな宇宙」では、超ひもが振動している次元数が13次元とか15次元とかで、今後の計算次第ではもっと次元数が増える可能性もあるという話が書かれていたように思うのですが、本書では10次元で決定したように書かれています。その辺りの経緯が省かれていて、最初から10次元という結果だけがいきなり書かれているので、何故10次元なのかが書いて欲しかったなぁ。

2007年8月13日月曜日

スーパーノヴァ



テーマが大きすぎて纏めきれなかったのか、「F・コッポラ、W・ヒルが製作に加わるも完成を断念せざるを得なかった」という問題作だそうです。いやそんな中途半端なもん、なんでリリースすんねん?という気もしますが、巨額の予算を使ってしまってて、今更「や〜めた」と放り出すことは無理なんで、どうにかこうにかでっち上げたというところでしょうか。
実際、観ていて「どうも展開を急ぎすぎているな」という感じがしていて、元々構想していたストーリを上映時間内に収めるのに苦労したんでしょうねぇ。


2007年8月12日日曜日

【BMW雑記帳】BMWはホワイトボディを寝かせているか?

今月(というかもうすぐ新刊が出るから先月か)のモーターファン・イラストレーテッドは、ボディについての特集です。
クルマのボディ製造時には、プレスした鉄板を溶接して繋ぎ合わせているのは皆さんご存じだと思います。市販車ベースのレースカーやチューンドでは、ボディ強化のために「スポット増し」というのを施すことも、割とよく知られていると思います。
でも実はこのスポット増しが有効なのは、日本車だけみたいです。というのも、日本のメーカーはスポット溶接一辺倒で、他の溶接方法はあまり(10%未満)使っていません。なので、スポット溶接箇所を増やすことは、ボディ強化に有効です。
対して欧州メーカーは、スポット溶接は溶接箇所全体の3〜6割程度しか使っておらず、後はレーザー溶接やアーク溶接、攪拌摩擦溶接などの線溶接が中心になりつつあります。
#まあ最近高級車ではアルミボディにすることが増えてきていて、こちらの場合は接着剤による面での接続が中心ですね。

また先々月のコラムで、「欧州車はホワイトボディを寝かせているらしい」とSTIの方がインタビューで答えているのをご紹介しましたが、BMWは実際そうしているみたいです。
どの雑誌だったか忘れてしまいましたが、以前BMWの工場紹介記事があって、その中にホワイトボディの保管倉庫が出てくるのです。これを見たときには「何でボディ製造ラインが塗装ラインと直結していないんだ?何で組み立てラインと直結していないんだ?」と不思議に思いました。
巨大な倉庫でホワイトボディを保管管理していて、どう見ても溶接後に寝かせているとしか思えないのです。まあ溶接後の強度回復以外に何か理由があってやっていることなのかも知れませんけど。

そういえば、20年程前のCGにフェラーリの工場見学記事があって、山のように積まれたエンジンブロックを見てびっくりした覚えがあります。製造台数から考えて数ヶ月分以上のブロックの山。その頃の欧州メーカーは、不良品の鋳物が工場のそこら中に放置されているという噂もありましたので、それかもしれませんが...鋳造したブロックを枯らしているという可能性も高いんですよね。

今の製造技術ならそういうことまでしなくとも十分に精度は出せます。でもそういうユーザーにはまず判らない所まで、きちんとこだわってこそ高級車なのでしょう。
レクサスが高級車ではなく、高級感の高い大衆車にしかなれないのは、こういうところが違うからなのかも。

〈数理を楽しむ〉シリーズ 黒体と量子猫 1&2 / ジェニファー・ウーレット



「文系の方にも判りやすい」というのが謳い文句の科学の歴史解説書ですが、訳の判らない間違った映画や小説からの引用と比喩が大半を占めていて、これで一体何をどう判った気になれるのか不思議です。読んでいて、作者が読者に伝えたいのが何かがさっぱり判りませんでした。
訳の質も問題ないのかも知れませんが、サイエンス・ライターの肩書きを持つ作者の経歴はどうも疑わしく思えてしまいます。文章も話があちらこちらに飛びまくりでまとまりがなく、読みにくい理解しにくいことこの上なし。
なんとか根性で最後まで目を通しましたが、内容がさっぱり頭に残ってません。
こういうレベルで「判りやすい」などという帯を付けるから、科学は難しいという誤解が益々広がることになるんだよなぁ。