2006年9月9日土曜日

パプリカ / 筒井 康隆



筒井氏が一度断筆宣言をされる直前の長編小説です。SFっぽさも入ってますが、正調筒井康隆節の小説です。
初期の頃から、筒井氏の作品では人間の精神、取り分け正気と狂気をテーマというかモチーフというかに取り上げたものが多いのですが、本作もまさしく人の狂気が主題になっています。
こういうテーマを、表面上は深刻ではなく軽いタッチで書きつつ、しかししっかりと読む人の心に突き刺さる作風は、天才にしか書けないだろうなと思わされます。

そういえば大学生の頃に、「筒井康隆を10冊読むと気が狂う」という都市伝説を、先輩から教わったのですが、10冊以上読んだ方は、どうでしたでしょうか?
私は、それを教わった時はまだそのちょっと手前の冊数しか読んでいなかったのですが、もう既にそれを疾うに越えてしまっています。


2006年9月7日木曜日

唯一の神の御名 / 篠田 真由美



龍の黙示録シリーズの1編です。いや、中編2本とプロローグとエピローグが収められているので、1編というわけではなく中編集ですね。
龍が透子とライル(ライラ)に昔語りをするという形で、龍の過去が語れています。
ローマ帝国を舞台にした物語と飛鳥時代の奈良を舞台にした物語。歴史が好きな方なら、文句なく楽しめると思います。


2006年9月6日水曜日

ロミオとロミオは永遠に (上・下) / 恩田 睦



近未来の皮相的な日本をギャグ漫画っぽく描いた小説ですが...最後の方までドキドキハラハラしながら、一体どういう結末が待っているんだ?と読み進み、最後の最後で裏切られた感じがします。落ちが安易すぎる。この落ちを最初から考えていたというよりは、最後に苦し紛れで落とした感があります。でも一応、落ちとそれまでのストーリの整合性はあるから、やっぱり最初から狙っていたのか??

ロミオとロミオは永遠に〈下〉


2006年9月4日月曜日

アンダーワールド



本作の続編が新発売になったのに伴い、廉価版が登場で、ジャケットのおねーさんのかっこよさに魅せられて買ってしまいました。
アイデアといい、話の展開といい、秀作です。面白いです。バンパイアと狼男の戦いがガンアクションなのも、きちんと理由付けできているし、どちらもウィルスにより不死性を得た理由付けも一応されています。
バンパイアは男女比が1:1くらいだけど、狼男は男ばかりで女性がいないのがちょっと???なのですが、それについては何も説明付けがないですが、ストーリーの展開上では気にすることもないですが。

バンパイアは、人間世界には貴族で金持ちとして生息しているせいか、豪華な屋敷に住み、マセラティを乗り回しています。欧米ではやはり貴族の車(スポーツクーペ)といえばマセラティなんでしょうね。

続編の2は廉価版が出てからにしたいと思います。


バイオハザードII アポカリプス



"Apocalypse"ってどういう意味なんじゃい?と辞書引いてみたら「黙示録」だそうで。それなら邦題は「黙示録」にした方が一般受けしたんじゃないのかなぁ?
前作はひたすらにアンデッドを倒しまくって脱出するという安直なストーリー展開でしたが、本作は映画らしく二転三転しながらのストーリ展開で、普通に楽しめました。
#まあ墓の中の死者にまでウィルスが感染するというが納得いかんのですが。
##噛まれなきゃ感染しないはずなのに、土中の死者がどうやって感染したんだよ?

なにげにIIIがありそうなエンディングでしたが、あるのか?
まあヒット作だから、当然2匹目だけではなく3匹目のドジョウも狙うでしょうわな。

2006年9月3日日曜日

【BMW雑記帳】バルブトロニックとスプレーガイデッド直噴

福野礼一郎ファンの皆様待望の季刊クルマの神様 2 (2)の第2号が発刊されています。でも残念ながら、BMWネタは掲載されておりません。
モーターマガジンが「BMWが描く3シリーズ進化論」という大特集をしています。カラー61頁と記事頁の半分近くを使う程の力の入れようです。BMWのエンジン工場やボディ工場のレポートもありますので、BMWユーザーは必見ですよ。

さて、以前Club-tiのBBSで、新しい3L直噴ツインターボエンジンにバルブトロニックが採用されなかったことから、「バルブトロニックエンジンはもうなくなるのか?」とユーザーが悲しげな書き込みをしていたことがあります。
モーターマガジンの特集でエンジニアのインタビューがあり、335iにバルブトロニックが採用されなかったのは「直噴だけで10%の燃費改善ができたことと、スペース的に入らないから」という答えがあります。
またポンピングロスを減らすという目的から、「両方を併用する意味はない」そうで、どちらかだけで十分で併用してもそれ以上の効果は得られない模様です。
ただ、燃料に硫黄分が多いとピエゾインジェクタのトラブルが出るため「地域によってはバルブトロニック式エンジンを併売していく」ということなので、バルブトロニックがなくなるわけではなさそうです。

今後のBMWエンジンがどのようなラインアップがどのように移行していくかは、我々ユーザーには知るよしもありませんが、まだまだこれからも直6ガソリンエンジンを作り続けていくのは間違いないようです。
しかし直4の2Lエンジンに、この直噴ターボ技術が採用になるかというと、NA直6の立場を考えるとなさそうですね。直4の短さが鼻先の軽さとなって、操縦感覚は直6よりもいいのですから、是非M5/M6のV10を4気筒化して更にスプレーガイデッド直噴ターボにした超高性能2L直4エンジンを、3ドアの1シリーズに登載して貰いたいものです。


IMMORTAL / ANTHEM



聴いたことがあるようなリフと歌メロに歌詞。アンセム・サウンドといえばそれまでですが、再結成されてからのアンセムというか柴田氏は、過去のアンセムの亡霊から逃れなくて藻掻いているように思えます。
解散前のアンセムには、アルバム毎に必ずファンから賛否両論が起こる程の変化と新しい挑戦があったのですが、再結成後のアンセムは昔のアンセムを意識し過ぎて、そういうサプライズがなくなっているのではないかと。
曲も演奏も素晴らしいけど、どうにも心に残りません。


シンギュラリティ・スカイ / チャールズ・ストロス



「ニュートンズ・ウェイク」もそうでしたが、本作も作者が構築した未来に何の説明もなくいきなり読者を放り込んでくれます。物語の背景や状況を、読者が理解できないまま、話だけがドンドン進んでくる。こういう作者の勝手な妄想に無理矢理付き合わせる作風が、昨今では流行なのでしょうか?しかもそういうのを評論家は絶賛してるし。


月光とアムネジア / 牧野 修



日本に似ているけど全く別の世界で展開される非日常的な現象の物語です。
作中の世界がどういう世界かの説明が自然に徐々に話の流れに沿って行われているため、別世界に割と自然に入り込めます。この辺りのストーリ展開のうまさで、ページ数が実際よりも短く感じ、あっという間に読み終わってしまいました。
牧野氏の作品は初めてなのですが、是非他の作品も読んでみたいです。