2016年3月29日火曜日
軍神の血脈 楠木正成秘伝 / 高田 崇史
高田氏の作品にはいつも感心させられます。
楠木正成の最後については、確かになんとなく違和感があったのですが、本書を読んですっきりしました。
その辺りについて書くとネタバレになってしまうので書きませんが、軍略の天才であるならばこそ、本書の楠木正成の姿の方が本当であるように思います。
本書ではちょっと触れながら、解決してない問題もいくつかあります。
それについては、この後に本書のシリーズとして出て来るんでしょうか?
私が楠木正成に関して不思議に思っているのは、水戸光圀公は何故南朝を正統としたのか?なのです。
光圀公は、次男でありながら水戸家の内部事情で継嗣とされたのですが、正統な血脈に戻すため兄の子を養子として、水戸家を継がせています。
北朝と南朝と分かれる元になったのは、後嵯峨天皇の後を長男の後深草天皇が継いだのですが、可愛がっていた第三皇子を無理矢理即位させた亀山天皇とで、どちらの血統が天皇位を継ぐかで揉めて、後深草天皇の持明院統と亀山天皇の大覚寺統の二つに分かれ、10年ごとに交互に天皇位を継ぐということになりました。
後醍醐天皇は大覚寺統で、三男の血統なのですよね。
しかも、兄の後二条天皇が早くに亡くなり皇子もいなかったため、天皇位に付けた次男坊です。
光圀公が自ら示した血統に正当性からすれば、長男の家系である持明院統=北朝こそ正統で、大覚寺統=南朝は傍流であるとなるはずなのですが。
何故、後醍醐天皇を正統としたのかがよく判らないのです。
本書では、この辺りはサラッと書かれているだけで、詳しくは何も書かれていませんが。
スキャナーに生きがいはない (人類補完機構全短篇1) / コードウェイナー・スミス
古典SFでは割と有名な方らしいですが、今まで全然知らなかったです。
今回短編をまとめ直して、全3巻として再刊されることになり、その第一弾が本書。
殆どが1950年代から1960年代に書かれており、そのアイデアと発想は、当時としては結構進んだものだったのだろうなとは思います。
が、文章のまとめ方というか、ストーリーの進め方が、ちょっと雑で、どうもうまく物語の世界に入り込めず、今一つ愉しめなかったんですよね。
たぶん、もうこの方の作品は読まないだろうな。
登録:
投稿 (Atom)