2011年1月8日土曜日

Carl Zeissレンズが半導体の性能を決める

5年くらい前までは、半導体露光装置のシェアはキヤノンが圧倒的で、ニコンとオランダのASMLがそれに続いていました。しかし、液浸露光というレンズとシリコンウェハーの間を液体(純水)で満たして、より微細な回路露光を行う技術開発に、キヤノンは出遅れ、ニコンは最初に製品化したものの性能の安定化で遅れを取り、現在はASMLがシェアトップに躍り出ています。
年末に、東芝がFlashメモリ製造の次世代半導体露光装置をASMLに発注したという記事が出ていました。これまではニコンの露光装置を使用していたのですが、日本の大手企業から受注できなかったというのは、ニコンに取っては痛手でしょう。
東芝がASMLに発注したのは、EUV露光という液浸よりも更に微細な回路の露光が可能な技術なのですが、実際にはまだこの技術で量産が可能かどうかが確立されていないという話もあります。とはいえ実際にEUV露光装置を使っての製造が始まるのは、後2年くらい先のことなので、それまでには解決されるのでしょうけどね。

で、ASMLの半導体露光装置の光学機器部分(単純にいうとレンズとその周辺)は、Carl Zeissが開発・製造し、ASMLへ供給しています。十数年前までは、Carl Zeissも独自に半導体露光装置を開発・製造・販売していたのですが、キヤノンの攻勢に耐えきれず、それまでライバル同士だったASMLと手を結び、光学部分をCarl Zeissが、制御部分と装置全体の開発をASMLが担当することになり、その成果が現在出て来ているというわけです。
キヤノンは液浸を諦めて、一足飛びでEUV露光装置の開発を行っているようですが、EUV露光装置は非常に高価なものになるため、これを導入できる半導体製造メーカーは限られており、東芝がASMLに決めたとなると、キヤノンやニコンの出番は非常に限られてしまったと思われます。
恐らく次世代の半導体の製造は、ほとんどがCarl Zeissレンズで行われることになるでしょう。
また更に次の世代となると、果たしてどこか出てくるか。

2011年1月7日金曜日

Purplessence / 紫



70年代にDeep PurpleやRainbowのファンだった中年Hard Rockファンに取っては、涙なしには語れない、沖縄のSuper Hard Rock Band - 紫の復活アルバムです。当時は、沖縄のバンドが注目されていて、この「紫」と「Condition Green」は2大バンドとして特に有名で、国内メジャーレコード会社から数枚のアルバムが発売され、大ヒットをしていました。
しかしながら、マネージメントの問題やら、沖縄と本土の感覚の違いやらで、その人気も続かずに解散になってしまいました。
紫の頭脳ともいえるジョージ紫は、その後も細々と音楽活動を続けていたようですが、ここへ来て復活と相成りました。

さて本作ですが、もうそのまんまです。70年代のHard Rockそのままですよ。Deep PurpleというよりもRainbowの雰囲気の方が濃いですが、70年代のジャパメタ(当時はそんな言葉はなかったけどね)丸出しの楽曲と演奏です。懐かしさ爆裂。若い人達には、なんじゃこりゃ?という感じなんじゃないかなと思いますよ。私はこういうのが大好きなので、速攻でiPhoneに入れました。

Mac App StoreがOpen

昨晩MacのUpdateが表示されて、そういやiMovieとGarageBandがUpdateされたってニュース出てたなと思って、詳細を表示させると、他にiWorksとリモートデスクトップとMacOS XのUpdateも表示されました。
全部Updateして、再起動するとDockに見慣れないアイコンが追加されていて、なんじゃらほいとマウスカーソルをアイコンの上に持って行くと「App Store」との吹き出しが表示されるではありませんか。おお!これは!と思ってクリックすると、やはりMac App Storeのアプリでした。iTunesで管理するのかと思っていたら、インストーラー機能が必要なせいか、別アプリになったようです。購入アカウントは、iTunesのものをそのまま使うようですけどね。

まだ何もアプリは購入していませんが、Apertureがこれまでの半額未満というのが悔しい(笑
次のUpdateの時は、こっちで買う方がUpdate版の店頭パッケージより安くなるのかな?

それにしても、ますます小売店は厳しくなりますね。恐らくMicrosoftも次期Windowsでは真似をしてくるだろうし。数年後にはソフトウェアのパッケージ販売は激減しているでしょうねぇ。

ARMがCPUマーケットを支配する日

かれこれ20年くらい前は、ハイエンドのWorkstation用のRISC CPUが百花繚乱で、CISC CPUの代表であるIntelのx86系は風前の灯火のように云われたものでした。しかしIntelは内部構造はRISC系にすることと、プロセスルールの改善による高クロック化により、ハイエンドなRISC CPUと同等な性能をx86でも出せるようにして、かつ同等性能のRISC CPUよりも非常に低価格で販売することで、Alpha、PA-RISCなどを開発中止に追い込み、PowerやSPARCなどが風前の灯火状態に追いやられています。MIPSもハイエンドを狙うのを諦めて、組込用途を狙っているようですが、この分野はARMが支配的で、MIPSが躍進できそうにはありません。
現在では、組込用途や携帯端末はARMがほとんどで、PC/Workstation/Server類はx86がシェアのほとんどを占めています。
iPadを契機として、Android OSを使用したタブレット型携帯端末が盛んに開発・発売されつつありますが、そのほとんどがCPUにARMを使用しています。更にARMはより高性能でマルチコアなモデルを発表しており、Microsoftが次期WindowsをARMでも動作させることを発表しましたので、数年後にはARM CPU搭載のPCが登場してくることになります。
マルチコアでも低消費電力であることを武器に、Server市場にも進出することを狙っているようです。
ARMは実際に半導体を開発設計製造するメーカーにライセンスを売るだけで、自社ではCPUそのものを販売していません。それ故に、何百社というメーカーがライセンス契約をし、自社の製品に合わせてカスタマイズしたCPUを制作して搭載しています。
x86系CPUの場合は完成品を買うしかなく、CPUに合わせて製品を作らなければなりませんし、 製品を売れば売る程IntelやAMDを儲けさせるだけという構図になっています。
となると、製品メーカーとしてはWin-Win関係になれるARMと、独占的なIntelとどちらを選ぶかというとARMを選ぶことになるでしょうね。
ARMの躍進に危機感を抱いたIntelは、Atomという低価格プロセッサを開発し、組込用途も視野に入れていますが、先の理由でほとんどのメーカーはARMを選ぶことになるでしょうね。
MS-Windows以外の主要なOSは、ほとんどがARMに対応しているのですが、これでMS-WindowsがARMで動作するようになれば、ハイエンド以外はx86にする理由がなくなりますからね。
気が付けば、世の中はARMに支配されていた、という日も近いようです。

2011年1月6日木曜日

Open SourceになったSymbianの巻き返しはあるのだろうか?

Android端末が米国ではよく売れているようです。昨年の売上台数はiPhoneにかなり近づいて来ているそうで。とはいえ、多数の機種全部合わせて、iPhone 1機種と同等なので、メーカーの機種毎で数えるとまだまだなんでしょうね。
Android端末の売上が増えることで、割を食っているのが、Symbian端末です。GoogleがAndroidを発表すると、ほとんど間を置かずにSymbian OSをOpen Source化することを発表し、昨年後半に完全なOpen Source化完了となりました。Nokiaの首脳陣の先見の明と行動力は賞賛に値すると思いますが、残念ながら結果が付いて来ていません。Nokiaの売上は落ちこみ、DOCOMOのSymbian端末もiPhoneとAndroid端末にシェアを食われて行っている状況ですし、韓国メーカーはSymbian端末開発を止めて全面的にAndroidへの移行を宣言しました。

SymbianOSは、GUIを構成する部品が貧弱で、iPhoneやAndroidのような画面を作るためには、端末メーカー/キャリアが独自でGUI部品を作って載せるしかありません。Qtの移植が5年以上前に完了していればよかったのでしょうけど、残念ながらごく最近になってQtがSymbianOS上で動くようになったばかりで、今販売されている端末にはまだ搭載されていません。
Symbianもかなり前から、ユーザーが独自アプリを作成して、端末にインストールできる仕組みは搭載していたのですが、GUIが端末メーカー依存のため、Nokia端末に特化したものにならざるを得ませんでした。DOCOMO端末は、セキュリティの問題なのか、SDKの問題なのか、独自アプリをインストールできるようにはなっていません。

NokiaはSymbianOS搭載の自社端末を「スマートフォン」と呼んでいますが、ユーザーでそう思っている人はいないと思います。
SymbianOSは、5年くらい前のまだ搭載機能が少なく、CPUパワー、メモリ量が限られていた時代には、携帯機器用のOSとしてはよくできていたと思います。しかし、現在のように搭載機能が下手なパソコン以上になり、CPUパワーやメモリ量も数年前のパソコンに匹敵するくらいになっている現在では、OSの能力が不足しているというか適合しなくなってきているではないかと思います。
SynbianOSは、商業的に成功した唯一のマイクロカーネルOSだと思うのですが、カーネルに要求される機能が増えると、その機能を追加するためにserviceがドンドン増えて行き、カーネルがserviceを切り替えるオーバーヘッドが級数的に増えて行って、処理速度が阻害されてしまいます。
この問題があるため、WindowsNTも当初はマイクロカーネルとして設計されながら、パフォーマンスがでないために、モノリシックカーネル化していき、マイクロカーネル的なモノリシックカーネルになってしまったと思います。
NextStepも最初はマイクロカーネルのMachOSを使っていましたが、2.0になる時にMachOSはブートローダーとHALとして使うように変更されて、実際にはBSDカーネルが動作するようになっています。今のMacOS X、iOSがそれをそのまま受け付いていますね。

結局マイクロカーネルOSというのは、幻想だったということなのでしょうね。

2011年1月4日火曜日

SCHECTER BH-I 24 / ILB (あるいはAshボディについて)

ちょうど半年前に、中古で出ていたCombatのギターを思わず買ってしまいましたが、ショートスケールなのとフレット高さがやたらと低いのとハーフホローボディーなのが、どうも弾き辛くて、慣れの問題かと悩みに悩んだのですが、結局買い換えることにしました。
ロングスケールのストラトタイプで、ハムバッカー搭載で、Roland GK-3装着可能なものと、色々と探して、結局ギターもSCHECTERになりました。
BH-I 24
本当はピックアップがSSH構成ではなく、HSH構成の方を狙っていたのですが、実物を見るとリアピックアップとブリッジの隙間が、GK-3が入るかどうかのギリギリ過ぎて、トレモロユニットを動かしただけでぶつかりそうだったので断念。
それならFender Mex/Japanのストラトでもいいかとも思ったのですが、ラージヘッドのメイプル指板のが在庫なしなのと、SCHECTERはAshボディだけどFenderはAlderボディなので、SCHCTERにしました。
取り敢えず弦を張り替えて、少し弾いてみましたが、これなら暫く弾いていれば、そこそこ弾けるようになりそうな感触で、満足です。

少し前に、知り合いの若手ミュージシャンと話をしていた時に、カスタムオーダーをしていてボディ材はAlderにしているとことでした。しかも「XXXさんは全部Ashなんですよ。珍しいでしょ」というのを聞いて、一瞬目が点になって「いや、Ashも普通だけど」と返すので精一杯だったのです。最近のギターとかベースのボディ材の主流がどんなのかあまり知らないので、大昔の話をしても変かなと思って、その時はそれだけで話を流したのですが、その後色々と調べてみると、Fenderはカタログ品は全てAlderになっていて、日本のカスタムオーダーメーカーもメインはAlderになっていますね。

元々Leo FenderはAshを使っていたのですが、CBSが買収した後はAlderになりました。Ashというのは寒冷地帯に育成する樹木で、成長に非常に時間が掛かるため、量産するのに必要なだけの量の確保が難しくなって来たため、南洋材で入手しやすいAlderに変更されたと聞いています。まあ単純にいえば、コストダウンということですね。Ashより軽いので、Alderを好む人が多いということもあるんでしょうけど。
Leo Fenderは、Fender社を退社した後、MusicMan設立、更にそこも退社してG&L設立するわけですが、MusicManは基本Ash(カタログではSelected HardwoodになっていてAshとは限りませんが、廉価版のStaringがSwamp Ashを使っているので、たぶんAshでしょう)、G&LはAshを使っています。
なので、Leo Fenderが望んだボディ材はAshであって、Alderは嫌っていたのではないかと思います。
音はどっちがいいかは、好みなので、なんとも言えません。そもそも私はボディ材の違いによる音の差の聞き比べをしたことがないので。単純に密度が高くて重いAshの方がサスティーンが伸びるはず、という思い込みで選んでます。

ちなみにネック材は、MusicMan/G&LはもちろんFender社もMapleですね。
指板は、最近はほとんどがRosewoodで、偶にEbonyがあるくらい。個人的にはMapleの触り心地が好きなので、今回はMapleを選びました。ベースの方がRosewoodなので、その内にMaple指板欲しさに買い換えるかも。

[追記]
G&Lでも、Japan製はAlder、インドネシア辺りで製造しているのはBasswoodもあるようです。またUSA製でもAlderを使っているのがあるみたいです。
インドネシア製でもボディ材がAshとなっている製品もあるのですが...ショップの記載ミスなのか、本当にAshなのかは不明。

[追記2]
Fenderがボディ材をAsh(正確にはSwamp Ashらしい)からAlderに変えたのは、CBS買収のかなり前のようですので、Leo Fender自らの判断で変更したみたいです。

2011年1月2日日曜日

倭の正体 見える謎と、見えない事実 / 姜吉云



比較言語学から見た、倭と倭王の謎についての説を語られています。
古代天皇家が、半島王家の親類であったという説はこれまでもあり、それ自体は珍しくはないですが、百済王家、駕洛王家、新羅王家の系図を天皇家の系図と照らし合わせて、各天皇がどの王家のどの王子/姫に当たるかを、比較言語学により綿密に比定されているとことが、これまでにない試みだと思います。
この比定に関しては、私は正しいとかそうではないとかを判断する程には、半島の資料について知識がないので、お説に唯々肯くしかありません。

ただ疑問なのが、日本列島から韓半島への侵略については、何度も「激しい玄界灘を越えて軍団を送る輸送力が古代日本にあったはずがない」と述べられているのですが、その厳しい玄界灘を越える非常に困難な渡海を、古代半島王家と列島王家の王族・貴族が頻繁に行って行き来しているのは不自然ではないでしょうか?
王族が短い期間に、半島から奈良大和へ来て、再度半島に戻る、ということをするということは、実際には半島と列島間の渡海は、ごく普通に行われていて難しいものではなかったのではないかと思います。
だからといって、大和地方から何万人もの大軍を半島に送り込んだとも思いませんけどね。

【BMW雑記帳】謹賀新年

なんだかんだで10年以上続けている本コラムですが、結構読みに来てくれている方がおられるので、引き続き続けて行きたいと思います。
とはいえ、今年はいよいよ家の子を買い換えることになるかも知れませんし、買い換えるとしたら別メーカーになってしまうので、「BMW雑記帳」はその時点で終わることになります。まあたぶん、新しい車のメーカーについてか、車全般についてのコラムに鞍替えすることになると思います。今でも既にBMWネタは少なくなってきていますし。
では、本年も引き続きご愛読をお願い致します。

BlogシステムをBloggerに替えてからは、コメントが付けられるようになっていますので、ご質問やご意見のある方は、コメントでお願い致します。