2020年8月4日火曜日

逆説の日本史 25: 明治風雲編 日英同盟と黄禍論の謎 / 井沢 元彦



この辺りの時代については、倉山氏の各著書の方が面白く書かれていると思いますが、懇切丁寧に説明されているのは井沢氏の方ですね。
明治時代に、西洋から入ってきた演劇や歌謡が、日本独自の文化と合わさり、日本独特の演芸や演歌などに発展していく過程を、緻密に説明されています。
先人の知恵と苦労は如何ほどのものだったろうか。

似たようなこととして、戦後米国からブルース、ロックが(クラシックやジャズは、恐らく戦前から)日本に入ってきて、手探りでそれらを習得しようとした人達もおられたわけです。
そして、60年代後半の日本のブルース、ロックなどは、かなり高度なレベルに達しており、世界的なミュージシャンも輩出することになるのです。
それが可能だったのも、恐らくは平安時代から続く日本の伝統演芸の素地があったからではないかと思うのです。
(実際、世界的なエレキギターの大家である寺内タケル氏は、親が三味線の師匠で、もの心が付く頃から三味線を弾いていたそうで)
(ついでに書いておくと、氏は小学生の頃にギターの音を電話のピックアップを流用して、電気増幅させるエレキギターを発明していたそうで、「エレキギターは俺が発明したんだ」とおっしゃっておられました)
そしてなにより、一般民衆がそういう演芸を観て楽しむという文化も平安時代からあって、これは日本以外にはないことなのです。
(西洋では演劇やら歌劇などは貴族のもので、一般大衆は一切縁がなかった)
こういう歴史を知ると、日本に生まれて日本人と育ったことは、幸運だったなと思ってしまいます。