2016年3月16日水曜日

生命の暗号 / 村上和雄



目次をみた感じでは、生命工学の博士が書かれたちゃんとした遺伝子の書籍だと思ったのですが、出版社がサンマーク出版なだけあって、メインのテーマは「遺伝子の働きは意思の力で変えられる」ということでした。
本書は20年近く前に単行本出版され、10年前に文庫化されていますが、本書の続編が文庫化されたので、再度書店店頭に続編と並べて置いてありまして、読むなら先に出版された方からと、こちらを手に取ったわけです。

人間のDNAの内、遺伝子としての役割を持っているものは数%で、更にその中で実際に活性化されて使われているものは10%にも満たないのです。
殆どの遺伝子は使われずに眠っているわけで、それを活性化することができれば、人間はもっと凄い能力を発揮できるはず。
眠っている遺伝子を活性化するためには、人間の意識が重要で、意識することで遺伝子の働きを制御できる。

まあ要約するとそういうことなのですが、ではそれが本当にそうなのかというと、残念ながらその証拠になるようなものは何もなくて、著者が研究をしている内に「感じた」というだけですね。
科学が発達したといっても、世の中のことは実はまだまだ分かってないことが多い(というか、科学が発達すればする程、謎が増えていく)ので、著者が主張されていることが滑稽無糖とは言いませんが、もう少し何か具体的な証拠になるようなものを提示して欲しかったです。

2016年3月13日日曜日

SIGMA 20mm F1.4 DG HSM | Art



20mmでF1.4という明るさを実現した、SIGMA渾身の一本です。
フィルム時代にPENTAXが20mm/F1.4を発売していたらしいですが、デジタル一眼レフ用としては初ですね。
いずれにしても、今現在では他にはないスペックです。
たぶん、他のメーカー各社が追いつくために必死になっているのではないかと。

前玉が思い切り飛び出ていて、フードも固定で、通常のフィルターは付けられません。
保護フィルターがないと怖くて使えない人は買わない方がいいです。

ARTシリーズらしく、非常にヌケのいいレンズで、逆光にもビクともしません。
太陽をまともに画面に入れても、周りのビルはクリアに写ってます。



画面の歪みも20mmとしては驚異的に少ないです。



20mmとはいえ、最短だとかなり暈けます。
しかし芯を残したボケ方なので、縮小すると暈けてないように見え、見かけ上の被写界深度は深く見えます。
拡大すると暈けていますが。



以上の作例は全てD800E、開放で撮影。

いつもの絞りとボケ具合はこちら。
非常に綺麗で素直なボケです。


嘘だらけの日英近現代史 / 倉山 満



嘘だらけシリーズ第五弾です。
倉山氏は、実はこの日英こそ書きたかったのだそうですが、今の日本では英国に関心がある人はほとんどおらず、いきなり発刊しても売れないからという理由で、後回しになったそうで。
実際、第二次世界大戦後の英国は陰が薄いですからね。
本書で書かれていますが、欧州では第二次世界大戦の戦勝国は、実は独逸と日本だと言われているそうです。
今の欧州各国の経済状況を考えたら、笑えない話ですね。
戦後の独逸と日本、伊太利亜の経済復興と、対する英吉利と仏蘭西の経済凋落をみたら、どっちが戦勝国なのか分からないくらいです。

日本では第二次世界大戦を太平洋戦争と称し、米国だけが敵対国というようなイメージになっていますが、そもそもは中華事変(戦争ではなく事変)が続いていたところに、欧州で独逸が周辺国への侵攻を始め、それに対抗しようとした英吉利が、何をどう間違ったか傍観していた亜米利加を引っ張り込んで日本の相手をさせたし、東南アジアの殆どは英吉利と和蘭の植民地だったから、実際には日英戦争の方が日米戦争より先に始まっていたんですよね。

その頃の戦況を見ると、わざわざ真珠湾を攻撃なぞする必要なんかなかった。
#やるのなら戦艦を空爆するのではなく、石油施設を空爆して叩いておけば、太平洋艦隊が燃料がなくなって身動きできなくなって、米国が日本にちょっかいを掛けることはできなかったのに、石油施設は丸々無傷で残してしまった。
東南アジアでも和蘭領のインドネシアを陥落した時点で、亜米利加から輸入停止された石油を補えるだけの油田を確保できているのでそれ以上深追いする必要などなかったと。
目的もなく、ただひたすら無闇に戦線を拡大(最大では地球の半分を戦線にしていた)するという、一体何を考えてそんな無謀なことをするのか?としか思えないことばかりです。
今は(結果的に負けたから)、強大な亜米利加に戦争しかけること自体が無謀、ということになっていますが、実際には「勝てた戦を、わざわざ負け試合しにした、軍部首脳の馬鹿」としか言えないような戦争だったようです。
未だに亜米利加が日本に戦闘機の独自開発や、コンピューターOSの独自開発などを認めず、潰しに来るのは、第一次第二次世界大戦での日本の強大さをイヤという程味わった恐怖感からだと思われます。
そんな過去を日本人はすっかり忘れ去り、白人に媚びへつらうようになったのだから、戦後のマッカーサーの洗脳教育は大成功ということですね。