2023年12月30日土曜日

SUPERサイエンス 縄文時代驚異の科学 / 齋藤勝裕

SUPERサイエンス 縄文時代驚異の科学 

縄文時代の文化・文明がいかに凄かったかを、わかりやすく解説してくれています。
ただ、表題の「驚異の科学」というのは、ちょっと内容からすると、あんまり科学の話が出てこないなってところはありますが。
この時代の日本列島の文化・文明は、大陸のそれを凌駕するものが多く、大陸から伝来したと云われている技術や産物は、実際には列島から大陸に伝来されたのではないか?と思われる節もあるのです。
その証拠を辿るのは、今となってはほぼ不可能ではありますが。


噓だらけの日本古代史 (扶桑社新書) 

「聖徳太子はいなかった。なぜなら存命中は厩戸皇子と呼ばれていて、聖徳太子とは呼ばれていなかったからだ」という説を聞いたとき、私は「諡も知らない人が、歴史学の博士号を取って大学教授になれるのか?」と驚愕したもんです。
今の日本の歴史学者は、GHQ支配下に帝国時代の教授たちを追い出し、それまでの学会から放逐されていた共産主義者に置き換えられたので、まあめちゃくちゃな説を唱える人達だらけになってしまったみたいなのですが、未だにそれが尾を引いているみたいで。

まあ、そういうデタラメを唱える共産主義者の説を、倉山氏が一喝しております。
誰にも正しい歴史などは実は存在しないし、誰にも正しい真実も存在しないんですよね。
にしても日本の歴史学はひどすぎる。


食王 / 楡周平

食王(祥伝社文庫に7-5) 

楡氏の小説は久しぶりだなと思いきや、どうも何冊か文庫化されているのを、見落としているっぽいなぁ。
武漢ウィルスで書店が営業自粛していて、その前後に発刊された書籍を大量に見落としている気がする。

創業者が一代で築き上げた企業を、どうやって後世に引き継いでいくか。
どこもが抱える問題です。
「金を残すは下、作品を残すは中、人を残すが上」というのが、中国古典にあるそうですが、今の人は(起業家かどうかに関わらず)皆、金を残すことだけしか考えていないですからね。


月と日の后(上・下)/ 冲方 丁

月と日の后(上) (PHP文芸文庫) 

月と日の后(下) (PHP文芸文庫)

平安時代の女御を主人公にした作品を書かれていますが、今回は藤原彰子を主人公にした、宮廷の権力闘争(といっても、西洋や中原の諸国のに比べたら、ままごとみたいなものですが)を描いた物語です。
平安貴族の、平和ボケした日常を知りたい方は、ご一読を。


天を測る / 今野 敏

天を測る 

今野氏の歴史小説というのは、記憶にないのですが、珍しいのは間違いないかと思います。
明治維新の後、歴史を握ったのは薩長なので、江戸幕府の官僚は無能だったかのように、中高の歴史教育では刷り込まれますが、実際にはかなり有能だったのですよ。
その一端が、この小説で描かれています。

因みに、今では歴史的英雄として語られることが多い勝海舟も、実際には口がうまいだけの策士なんですよね。本書の通り。


隋―「流星王朝」の光芒 / 平田 陽一郎

隋―「流星王朝」の光芒 (中公新書 2769) 

遣隋使というのが、歴史教科書に出てくるので、日本人にとっては「隋」という王朝は馴染みのあるものかと思いますが、じゃあその実体はどうやねん?というと、殆どの人は知らないですよね。
私も知らないので、知るために買って見ました。
まああれですね、中原の王朝は絶えず紛争の嵐で、平和な時などありゃしないって感じですか。
後ね、隋は所謂漢民族が打ち立てた王朝ではないので、中華人民共和国の嘘に騙されないようにしましょう。
中国4千年の歴史というけど、あの地域の歴史というだけで、中国という一つの国の歴史ではありません。

 

日本史の謎は「地形」で解ける【日本人の起源篇】 / 竹村 公太郎

日本史の謎は「地形」で解ける【日本人の起源篇】 (PHP文庫)   

竹村氏が地形に注目して歴史の謎を解明するシリーズを展開してから、珍しく素人の本説を専門家も採用するようになったような気がします。
地形を題材にした書籍を、竹村氏以外にも出されている方もおりますし。

地形により考察は、日本の歴史のみならず、人類の起源にまでたどり着くことになりました。いや面白いわ、このシリーズ。
けど、シリーズのどれかを見逃している気がするなぁ。
知らん間に結構巻数増えとるよ。


剣樹抄 不動智の章 / 冲方 丁

 剣樹抄 不動智の章

若き日の水戸黄門を描くシリーズ第二弾です。
若さゆえに犯した過ちが、実は…とネタバレになるので書けませんが、黄門様が十代の頃に旗本の子息たちと吊るんで街で悪さをしていたのは、割と有名な話だと思いますが、戦国の「気に入らないやつは殺してしまえ」の気運がまだ残っていた頃のことなので、割と平然と人を殺してたんですよね。
日本で古代から血を流すのを避ける傾向が強い国ではありましたが、「人を殺すのは非道である」となるのは、悪名高い生類憐れみの令以降なので、この物語の頃はまだまだ人を殺すのに抵抗がないときですからねぇ。

 

家康謀殺 / 伊東 潤

家康謀殺 (角川文庫)  

北条五代で、火坂氏の後を見事に引き継いで完成させた伊東氏の作品を読んで見たくなり、まずは短編集を買ってみました。
歴史の陰に隠れた人達を掘り起こして、裏を引き出すという感じですかね?
面白いアイデアの連発で、これは読む価値があると唸らされました。
戦国時代末期の物語が好きな方は、必読でしょう。


修羅の標的 傭兵代理店・改 / 渡辺裕之

修羅の標的 傭兵代理店・改(祥伝社文庫わ7-30) 

露西亜のウクライナ侵攻は未だに止まず、露西亜の大統領選挙でもプーチンが再出馬で、時期大統領もプーチンでまず間違いないようで。

本編では、ロシア軍がウクライナの原子力発電所を占拠し、破壊するのを阻止します。
恐ろしいことに、ロシア軍が原発を占拠しようと攻撃を加えているのは、実際に行われていることなんですよね。
支配するために攻めている土地を、放射能で汚染しようというのは、どういうつもりなんだろうか?


2023年12月29日金曜日

重力のからくり 相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか / 山田 克哉

重力のからくり 相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか (ブルーバックス)  

山田先生、わかりやすく説明してくださってはいますが、結局のところ…重力って何か分からん! ってことですね。

なぜ気象学者は間違ったか 地球温暖化論争の疑問を追う / 小山 新樹

なぜ気象学者は間違ったか 地球温暖化論争の疑問を追う

これを読むと、二酸化炭素による地球温暖化を唱える気象学者は、科学者ではなく研究費目当ての詐欺師であることが好くわかります。
科学の基本も知らずにデタラメこいてるんだから。

炭素ベースの燃料を止めて、水素ベースの燃料に、世の中は移行しようとしていますが、二酸化炭素よりも水蒸気の方が、温室ガス効果は何倍も高いというのは、科学者ならよく知っているはずのことなのですが、世の中の科学者は誰もそれについて何も云わない。

地球は利権目当ての詐欺師によって、滅ぼされることになるのかも。


オーラリメイカー〔完全版〕 / 春暮 康一

オーラリメイカー〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA JAハ 13-2)  

結論からいうと面白かったです。
最近はこの手のSFは、現実感がなくてあまり読んでないのですけど、それを差し引いても面白かったです。

帯に「知性とは何か?」とあって、本書のテーマになっているのですが、AIが氾濫しつつある現在なので、こういう考察と思考実験は大切だと思います。


虫歯から地球温暖化、新型コロナ感染拡大まで それ全部「pH」のせい / 齋藤勝裕

虫歯から地球温暖化、新型コロナ感染拡大まで それ全部「pH」のせい (青春新書インテリジェンス PI 678)  

一般人向けに書かれているので、化学好きとしてはちょっと物足りない面もあるのですが、なかなか面白かったです。
普段意識していない事柄が、実はそういうことだったのかと納得させられる内容ばかりです。
教養として、読んで損はない一書だと思います。


RACERS - レーサーズ - Vol.70

RACERS - レーサーズ - Vol.70 (サンエイムック) 

1960年代のHONDA二輪レーサーの特集です。
精密機械と呼ばれたエンジンの分解写真が掲載されているので、思わず手にとってしまい…買ってしまいました。
50年近く前に、こんな緻密な機械を製造できたのか、と思わざるを得ません。
コストがかかり過ぎたのは確かで、MVアグスタとHONDAがコストのかかったレーサーと投入し勝ち過ぎた結果、コストキャップやら市販車ベースという規制が掛けられてしまいましたからね。

Kindle Unlimitedで読むことができるみたいなので、ムック本を買う気にならない方でも、Unlimited契約している方は、一読する価値アリですよ。


関ヶ原連判状(上・下) / 安部 龍太郎

関ヶ原連判状 上巻 (朝日文庫)  

関ヶ原連判状 下巻 (朝日文庫)  

安部氏の作品は、歴史エッセイは数冊読んでいるのですが、小説はあまり読んでいなくて、本格的なのはこれが初めてです。
関ケ原の戦いの裏をえがいたものですが、まああくまで小説ですよね。

とはいえ、ある程度は、ここに描かれたことが、裏で実際にあった可能性はあります。
古今伝授というのがキーワードになっていますが、これを読むまで、そんな重要な意味があったとは思っても見ませんでしたが、知ってしまうとなる程と思わされてしまいます。

 

天離り果つる国(上・下) / 宮本 昌孝

天離り果つる国(上) (PHP文芸文庫)  

天離り果つる国(下) (PHP文芸文庫)  

宮本氏の作品を手にするのは久しぶりだな。
頻繁に作品をだされているっぽいのですが、何故か書店で見かけて手にする機会を逸していたっぽいです。
宮本氏の小説は、史実を元にしつつも、あくまでフィクションで、その分エンターテーメントとして楽しめる小説になっています。
本作も初めから終わりまで、うーむそう来るか〜!と先の読めない展開で、楽しませて頂きました。

 

北条五代(上・下)/ 火坂 雅志, 伊東 潤

北条五代 (上) (朝日文庫)  

北条五代 下 (朝日文庫)  

これからの活躍を期待されているところで急死された火坂氏。
執筆途中のままだった本作を、新進気鋭の伊東氏が引き継いで完成させた、作品です。

北条というと、鎌倉幕府の政所・執権であった北条氏を思い浮かべるのですが、こちらは後北条氏とも云われた室町時代に伊豆を中心に支配をしていた北条氏の物語です。
元々は伊勢氏だったのに、なんで北条氏を名乗ったんだ?と子供の頃から疑問だったのですが、北条氏の血筋の女性を輿入れさせたのを根拠として、関東全域の支配権を宣言するため、政所・執権であった北条氏の後裔であると詐称したみたいですね。
権威主義であった、この頃の日本の事情を考えると、納得できる話です。

緻密な取材を元に執筆される火坂氏の後を引き継ぐという、難行を完遂した伊東氏も見事だと思います。
これまで伊東氏の作品は読んだことがなかったのですが、これを機会に氏の作品を読んで見ようと思いました。


ウクライナ戦争の嘘-米露中北の打算・野望・本音 / 手嶋 龍一, 佐藤 優

ウクライナ戦争の嘘-米露中北の打算・野望・本音 (中公新書ラクレ 796) 

この手の情報を握っていて語ってくれる人というと、このお二方になってしまうのですよね。露西亜によるウクライナ侵攻戦争が、泥沼化し、落とし所が皆目検討が付かない状況に陥ってしまっていますが、欧米にとっても露西亜がウクライナに釘付けになっている状況は、ある意味都合がよいのかも知れません。

まあ独逸は露西亜から天然ガスを買えなくなって、大変な目に遭っているので、露西亜にさっさとウクライナは諦めて貰いたいでしょうけど、米国は長期化する方が都合がいい面があるみたいです。
中東で別の問題が発生して、米国もウクライナどころでなくなって来ているのも確かですけどね。


参議院 / 倉山 満

 参議院 (光文社新書 1259)

 世間では、衆議院があれば十分で、参議院など税金の無駄使いだという人も多いですが、参議院の存在意義を本書で再確認してほしいと思います。
政治の仕組みって、そんな単純なものではないのです。
衆議院の暴走を阻止するチョック機能に、元老院制を復活させたいのであれば、別ですけどね。