2014年8月16日土曜日

福野礼一郎 あれ以降 全集1 / 福野礼一郎



「あれ以降」が何を意味するかは、本書の前書きをご覧下さい。
全集1とあるので、2以降もあるのでしょう。
本書では2006年に福野氏が執筆された記事やコラム、対談などから、20本が選ばれて掲載されています。
私は福野氏の雑誌記事は大体目を通しているつもりなのですが、これを見ると半分くらいしかフォローできていなかったみたいです。
この頃は結構雑誌は大量に購入していたんですが、それでも見落としてるということは、雑誌を余り買わなくなったここ数年間はかなり見落としてるということだろうなぁ。
福野氏の言葉に琴線が響くのを感じられる方は、保存版として購入する価値があると思います。

俺たちに明日はない / 頭脳警察



Rockに目覚めた中学生の頃、既に頭脳警察は活動停止でパンタさんがソロアルバムを出されていました。
1st、2ndは発禁で、3rdも廃盤で手に入らず、FMのエアチェックで録っていたパンタさんのソロアルバムからの何曲かが、唯一の接点でした。
その後、大学になって3rdアルバムが廉価版で復活。
社会人になってCD時代もかなり経って、2ndが解禁復刊。
10年程前に1stのCDが解禁復刊。
あの頃の頭脳警察は凄かった、という理由がテクニックでも音楽性でもなく、ただひたすらに時代への不満をぶちまけることのみにあったことも理解できました。

結局、Rockの本質というのは、若い世代が古い世代に不満をぶちかますってことにつきるんですよね。
私の中で日本のロックといえば、一に頭脳警察、二に外道なのですが、つまりはその本質を貫いているかどうかなんだということです。

活動再開してからのアルバム、実は買ってません。
いや、確かトシさんがお務めを終えて、社会復帰されてすぐに活動再開した時のアルバムは買ったような気がするんですが、記憶が定かでないので、何かがっかりしたショックで忘れてしまったのかもしれません。

本作も発売されてすぐではなく、5年も経った今頃になって買いました。
阪神百貨店の廃盤・中古CDセールに目に付いたので、思わず手にしてしまったのです。

中身は、確かに頭脳警察です。
特に歌詞は、正に頭脳警察です。パンタさんです。
でもアルバムとしては、妙に大人の音楽というか、上手いスタジオミュージシャンを集めて、キチンとした音と演奏と録音で、綺麗な音楽です。
プロのミュージシャンのアルバムなんだから、音が綺麗で演奏が上手いのは当たり前、というのは、どうも頭脳警察には似つかわしくないように、私は思ってしまうのです。

初めて聴いた頭脳警察の3rdアルバム。
ただひたすらにFAZZで歪ませたエレキギターをガシガシコードを掻き鳴らす、勢いだけでうまくもなんともない、あの演奏と録音こそ、頭脳警察に相応しいと思うのですよ。

2014年8月15日金曜日

宇宙が始まる前には何があったのか? / ローレンス・クラウス



何もないはずの「空っぽの空間」が実はエネルギーを持っていて、極々極々短い時間に物質とそれの対である反物質が生じては即結合して消えてしまう、をひたすら繰り返している、という話はこれまでもいくつかの書籍で読んでいるのですが、まあそれについてのお話です。
主にはビッグバンが如何にして証明されたかについて語られています。

今までいくつか疑問だったことの内、何点かは解決したのですが、お陰で益々疑問が増えてしまいました。
1つの謎が解決すると、それに伴う新たな疑問が3つも4つも出てくるのですよね、宇宙物理学とか量子力学とかってやつは。
なので、人類はいつまで経ってもこの世の中のことに対する疑問が尽きないというわけで。

ビッグバン初期のインフレーションでは、計算上空間が広がる速度は光速を遙かに凌駕していて、相対性理論と矛盾するのでは?と謎だったのですが、クラウス博士はあっさりとその疑問を解決してくれました。
相対性理論では、空間内部を移動する物質・エネルギーの速度は光速までという制限があるけど、空間そのものの移動速度にはそのような制限はないんだそうで。
それから考えると、空間自体が光速を凌駕する速度で拡大もしくは移動しているならば、その内部の物質も空間ごと光速を凌駕する速度で移動できるはずですな。
その場合、その空間に乗った物質を観測した場合、光速以上で移動しているように見えるのか、それとも光速付近の速度でしか移動していないように見えるのか...。

また我々のいるこの宇宙の物理法則は、必ずしも今の物理法則や物理定数でなければならなかった必然性はない...らしい。
よくいわれる多元宇宙があるとすると、少しずつ物理法則や定数が異なる宇宙があるわけで、その場合に膨張する宇宙になり恒星や銀河が形成されるのは、今の我々の宇宙の物理法則や定数がドンぴしゃの値で、そこから外れた他の宇宙では恒星や銀河は形成されないらしい。
地球の生命起源の話もそうなのですが、どうも我々人類という存在が今存在するためには、何億分の一の奇跡が何億回も連続して、ドンぴしゃのタイミングで起きないといけないことになるとしか思えないんですよね。
この奇跡をどう捉えればいいものか。