2019年1月25日金曜日

海と陸をつなぐ進化論 気候変動と微生物がもたらした驚きの共進化 / 須藤 斎



著者は植物性プランクトンの化石(微化石)の研究をされている方です。
地層の中から、高解像度の光学顕微鏡や電子顕微鏡でしか見ることができない、生物の化石を調べているわけですね。

広島の牡蠣養殖の人達が、山の森林を保全し、それによって山から河川を通じて海へ流れ込む栄養分を保全し、植物性プランクトンを育成し、それを餌としている牡蠣の成長を促しています。
それと同じように、植物性プランクトン→動物性プランクトン→小魚類→大魚類→巨大魚類という食物連鎖が、進化に影響しているのでは?ということを述べられています。
至極真っ当な論ですね。
ただ、それを証明する物的証拠(化石類など)が発見されることがあるか、というと望み薄ですね。

また近年の海は、生活排水などで窒素や燐などは豊富になっていますが、鉄分が少なく、そのせいで光合成を行っている植物性プランクトンの繁殖に問題があるそうです。
CO2の排出量増加による温暖化が問題にされていますが、適度な鉄を海にばらまけば、意外とすんなり解決するんじゃね?と読みながら思いました。
以前読んだ本で、鉄製の構造物(車とか)を海に沈めると、その周りに魚類が大量に繁殖するけど、アルミとかだと魚は寄ってこない、という話があって、そのことを思い出しました。
車の鉄分が海中に溶け出す→植物性プランクトンが増える→動物性プランクトンが増える→魚が増える、ということなんかなと。