2017年3月3日金曜日
仁義なきキリスト教史 / 架神 恭介
キリスト教の歴史をやくざに例えて描いたものです。
登場人物全員の台詞が広島やくざ言葉に統一されているのが、気になりました。
ガリラヤの組員は広島やくざなら、ローマ系は関西やくざ、ギリシャ系は関東やくざの台詞にすればより面白かったんじゃないかな。
まあ筆者が広島県出身なので、関西やくざや関東やくざの台詞までは手が回らなかったのかも知れませんが。
#後書きによれば、広島県でも岡山に近い福山市の主審なので、広島やくざの台詞も正確ではなく、福山弁が混じっているそうだし。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教というのは、同じ神様を讃えるのに、その神の言葉の解釈を巡って、古代からお互いを殺し合い続けている過激なもので、日本の極道が優しく思えるくらいに激しい抗争を2千年間ずっと続けているわけですわな。
実際、今でもイスラム教内の内部抗争の過激さ、イスラム教に対するユダヤ教、キリスト教の問答無用の仕打ちの過激さを考えれば、今この瞬間も繰り広げられている寸劇なわけです。
そもそも神であるヤハウェイが、率先して異教徒を惨殺し、戒律を守らない信者を残虐しているわけなので、信者も殺しまくってても当然か。
まあ、宗教はどれもそうなのかも知れませんが。
日本でも平安から室町に掛けての、仏教団体の極道振りは半端ないですからね。
2017年2月28日火曜日
乱丸 (天・地・人) / 宮本 昌孝
織田信長の小姓として有名な森蘭丸(乱丸)の生涯を描いた大作です。
新書では上下2巻だったようですが、文庫化に当たり「天」「地」「人」の3巻とされています。
何となく見覚えのあるタイトルになりますが、第一巻である「天」の巻末には、故火坂雅史氏との対談が掲載されており、宮本氏は火坂氏と仲がよく、一緒に呑みに行くことが多かったそうで。
このタイトルは、火坂氏への追悼の意味も込められている気がします。
3巻目「人」の解説によれば、森蘭丸を主人公にした小説は多いそうなのですが、私はこれが初めてです。
時代小説になら多いのかも知れませんが、史実に基づいた歴史小説では少ないんじゃないかと。
とはいえ、宮本氏の小説は史実に登場しない人物が出て来て重要な役割を果たしたりしているので、時代小説ですね。
織田信長旗下の優良武将として、乱丸の兄の森勝蔵長可も割と有名ですが、その父親も信長が父親同然に慕うということが書かれています。
これはたぶん史実なんでしょうね。初めて聞きましたが、乱丸と弟達が小姓として取り立てられたのも、その縁ということですね。
小姓として可愛がられたから、信長とは肉体関係による深い仲だったのだろうという説がほとんどですが、宮本氏はその説は取っていません。
純粋に乱丸が主君の意を汲み察する能力に長けていたからという説を取られています。
確かに信長の性格を考えると、肉体関係で寵愛していたからという理由で、側に置くとは考えにくく、宮本説の方が納得が行きます。
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