2006年1月19日木曜日

石田三成

学研M文庫刊 江宮 隆之 著
石田三成は大儀に生きた人である。というのが著者の結論でしょう。
石田三成はその才を秀吉に見出され、信長や光秀も近臣に欲しがったという異才であるにも関わらず、生涯を豊臣家のために尽くした忠義の人です。
三成の俸禄は知行として貰っている分と、豊臣家の直轄地を代官として治めている分とが、諸説で違っていてはっきりしないのですが、本作では関ヶ原の合戦の頃には40万石であったとしています。これだけの大録にも関わらず、その生活は非常に質素であっとされています。
父親に教わったという「小さな誇りはちょっとしたことでズタズタにされるが、大きな誇りは決して身じろぎしないものだ。大儀に裏打ちされたものこそ、大きな誇りである。」という言葉が、物語で何回も繰り返されます。
今の日本に必要なのは、何よりもこの言葉ではないでしょうか。



2006年1月17日火曜日

クリスタルサイレンス 上・下

ハヤカワ文庫JA刊 藤崎 慎吾 著
1962年生まれで作家としてのデビューが本作発表の1998年なので、36歳にしての作家デビューということになります。
氏は10代の頃からに、宇宙塵に投稿をしていたそうですが、その投稿も頻繁ではなく忘れた頃にという感じで、デビュー作以前の作は4〜5作程度と少ないです。
にもかかわらず、これだけの完成度の長編を生み出してしまう氏のパワーは凄いと思います。
冒頭の火星の高等生物の殻の群体やナノマシンを生み出した超古代生命体の謎が謎のまま終わってしまっているという不満はありますが、本作のメインテーマはそちらではないので、ストーリーそのものは未完ではありません。
この後の作品はまだ新書のものばかりなので、文庫が出るまで、氏の独特の世界に浸るのはお預けです。




2006年1月15日日曜日

【BMW雑記帳】BMWの強さはチームワークにあり

今週の日経の夕刊で、現BMW AG社長 Dr. Helmut Panke の履歴が連載で掲載されていました。
日経が氏を選んだのは、現在の世界の車業界で好調なメーカーというとトヨタとBMWくらいなのが理由でしょうね。
昨年は日本の輸入車販売台数で、初めてBMWがBenzを抜いて2位になったようですし。とはいえ、MINIと合わせればとっくにBenzはおろかVWも抜いて1位のはずなんですけどね。

Benzは昨年は日本だけではなく欧州や米国でも伸び悩んだようですし、VWはかなり落ち込んでいて大規模なリストラが予定されています。
最終回で、BMWの強みは会社の運営が一人のスーパースターによってなされるのではなく、チームワークによってなされることだ、とおっしゃっています。
一昔前には、パウロ・ロッシュという天才エンジニアがいましたし、今もクリス・バングルというデザインの天才がいるわけですが、恐らくは彼等がいなくてもBMWは好調なカーメーカーとして君臨していたのでしょうね。