書店店頭にこの2冊が並んでいるのを見たときは、同じようなタイトルで作家が別の小説を同時に発刊ってなんだ?と不思議に思ったのですが、その後に雑誌の紹介で小説雑誌の企画で創作されたとのことで、ならば2冊とも読まないと駄目だなと思い、両方を買って読んでみました。
木下氏の方は、これまでの題材となる人物を描くのに、周辺の人物を主人公にした短編を連作にして、周りから見た絵で、一人の人物を描くという手法を得意にしていますが、本作では逆に主題である信長が周りの人物を見ながらの思いを描くことで話を進めていっています。
天野氏が、それと対称に周りから見た信長を描いています。天野氏の作品は読んだことがないのですが、氏もこういう手法を得意にされているそうです。
両者が月ごとに変わりばんこで連載を続けるという形式だったそうですが、各章の登場人物の動きや台詞がキチンとシンクロしており、余程事前に両者で綿密に打ち合わせしてストーリーを組み立てていったのではないかと思わされる出来でした。
もう別々の作者が書いたと思えないくらいに、2冊が見事に咬み合っています。
絶対に2冊を合わせて読まないと駄目ですよ。