ニコンがやっとと言うべきかとうとうと言うべきか、35mmフルサイズ1眼レフ「D3」を発表しました。FXフォーマットと称するそうです。
同時にAPS-Cサイズ(Nikon DXフォーマット)の最高峰という「D300」も発表です。
FXとDXはそれぞれ特徴があり、単純にどちらが優れているとは言い難いものがありますが、私は断然フルサイズFXフォーマット派です。
FXの欠点と言えば、第一は高価格になる、ことに尽きますね。逆にいうとそれ以外はあまりないと思っています。
FXフォーマットが高価格になる理由は、CCDやCMOSセンサーを製造するための半導体製造装置が、本来はDXフォーマットのサイズ以上の半導体を製造することができないからです。
半導体は、回路パターンを高精度なフィルムに記録し、感光剤を塗布したシリコン結晶の薄板に、写真を焼き付けるようにしてパターンを写します。この写す装置を露光装置と言いますが、まあ写真プリントの焼き付け機の高精度なものと思って頂けばよいかと思います。
焼き付け機も種類によって、フィルムの大きさや写真用紙の大きさに限界があります。35mmフィルムで半切まで伸ばせる焼き付け機では、645フィルムで全紙にプリントすることはできません。
それと同様に、半導体製造用の露光装置は、APS-Cサイズの半導体までを製造できるものしか存在していないのです。理由はそれ以上大きな半導体というと、写真のCCD/CMOSセンサーくらいしかなく、FXフォーマットを焼ける露光装置を開発しても、開発コストが回収できないからです。
そのために、35mmフルサイズや中判サイズのセンサーを製造するときは、回路パターンのフィルムを複数に切り分けて、複数回に渡って焼き付けを行うということをしています。
先の写真の焼き付け機の例で言えば、645フィルムを3つくらいに切って、全紙の用紙をずらしながら3回に分けて部分部分を焼いていくという手順を行っているのです。
ちょっと考えれば判りますが、繋ぎ目を綺麗にピッタリと合わせるのが非常に大変です。このため回数が多ければ多い程失敗する確率が高くなりますから、コストが嵩むことになります。
その露光装置を開発しているのは、皆様ご存じのCarl Zeiss(現在はオランダの半導体メーカーと共同開発)、キヤノン、ニコンです。
35mmフルフォーマットのデジタルカメラを発売したのは、京セラ・コンタックが最初でしたが、これはフィリプスの半導体製造部門が独立した会社のCCDセンサーを使用していました。
このセンサーは3回の露光で製造されており、そのセンサーを使用して60万円という定価で発売したのは驚異的というか赤字覚悟の大盤振る舞いでした。が、カメラそのものの性能の低さ(AFなのにMFでピントを合わせる方が速い、RAW出力時には液晶に画面がでない)ことと、マウントを変更したのにレンズが揃っていないことなどで、売れませんでしたね。
これをY/Cマウントで出してくれていれば、私は無理してでも買ったと思いますけどね。
次にキヤノンが1Dsを発売しましたが、2回の露光で35mmフルサイズのCMOSセンサーを製造することに成功したため、発売にこぎ着けることができたのです。半導体露光装置もセンサーもキヤノンの自社製ですが、この露光装置は未だに外販をしている様子が見られません。少なくとも写真用のセンサーを製造しているメーカーには。
#Intelとかキヤノンと競合しない半導体メーカーには販売しているかも知れません。
5Dが比較的低価格でフルサイズを実現できたのも、この2回の露光による製造がこなれてきて、歩留まりがよくなったからでしょうね。
#どこぞの掲示板に1回の露光という書込があったのですが、キヤノンの技術者がインタビューで「2回。行程によっては1回で済ませられる部分もある」と答えていますので、露光自体は2回であることに間違いないと思われます。
KODAKもフルサイズセンサーを開発して、Nikonボディベースで発売していましたが、これは3回露光だったようです。
そして今回のニコンFXですが、1年程前からニコンが液浸露光という新しい技術を使った製造装置の開発に成功して販売を始めたという話が出てきていて、これを使えばフルサイズセンサー製造が2回露光で可能という噂でしたので、期待通りということになります。
キヤノンの遅れること約5年で、やっと追いついたと。
ちなみにD300のDXセンサーは、SONY製と思われます。D3/D300発表の2日前、キヤノンのD40/1DsMk3発表当日に、SONYがD300/α700に搭載されていると思われるCMOSセンサーを発表していますし、スペックから考えて間違いありません。D300とα700では、センサーのスペックが微妙に違っていますが、これは手ぶれ防止有無の差によって、有効に使える範囲がα700の方が狭くなっているためでしょう。
ちなみにSONYの半導体製造部門(カメラ部門とは別部隊です)は、ニコンの半導体製造装置を使用していますので、半年か1年後にはαのフルサイズが登場することになると予想されます。
あ〜、半導体製造装置のことだけで、一杯になってしまったので、続きはまた後日。
2007年9月22日土曜日
2007年9月19日水曜日
バイオメガ / 弐瓶 勉
絵の感じで何となく、最近増えてきた韓国や中国の漫画家なのかなと思ったのですが、日本人だそうです。なのに作中で裏文字のカタカナが混じっていたりするのはワザと?
普通ならこういう未来物語は、背景を説明するためのト書きや如何にも説明してます的な台詞がてんこ盛りになってしまうのですが、そういうものを一切排除して劇中の台詞だけで読者に推理させようという、ある意味大胆な表現方法を使われています。なので、推理する気のない人は、第一話だけで「わかんね〜よ」で終わっちゃいますね。
絵もデッサンが狂ってるし、やたらと線が多くて煩雑なため見辛いです。でも何故かこういう絵が人気らしいのね。個人的には好きじゃないのだが。
それでも読むのは、ストーリというか展開の仕方が面白いからですね。説明がなくて推理を必要とする分、自分の予想が当たっていたかどうかを確かめたくなるというのもあるかも知れません。
2007年9月17日月曜日
環境問題はなぜウソがまかり通るのか2 / 武田邦彦
環境問題はなぜウソがまかり通るのかの続編です。
今回は京都議定書の嘘とバイオ燃料&リサイクルの嘘を中心に書かれています。
バイオ燃料の方は、私もここで書いてきていますので、おおよそ知っていたことの確認になりました。
が、京都議定書の絡繰りについては初めて知りました。やっぱり日本のお役所は全然駄目駄目ですね。欧州の連中にいいように振り回されているだけってことね。
それと日本のお役所が出してくる資料ってのは、嘘ばかりというのも、改めて確認できました。
日本人は目的と目標と手段の区別が付けられませんが、環境破壊を防ぐためのリサイクル促進のはずが、逆に環境破壊なっていても判らないのですから、もうどうしようもありませんな。
2007年9月16日日曜日
【BMW雑記帳】フランクフルトショー
始まりましたね。欧州最大のモーターショーが。
でもBMWは目新しいのはない模様。
既に発売済みのM3とか発表済みの1シリーズのクーペとか、それくらいのようです。X6も確か出ていると思います。
でも今週はそれとは全然別の話題です。
環境対策としてBMWは水素エンジンを推進しているのですが、水素エンジンの場合は問題が2つあります。
一つは水素をどうやって生産するか。今日とある雑誌を読んで知ったのですが、日本では製鉄その他の副産物として水素がかなり大量に生成されているそうなのです。その量は現在の車が全部水素燃料を使うようになっても余裕で賄えるのだとか。これが本当なら車に限らず、水素燃料への転換を推し進めるのがいいはずなのですが、そういう話を聞かないのは石油業界の圧力?
2つめは貯蔵の問題で、水素を液体化するには非常な低温度が必要ですので、高圧ガスとして貯蔵するしかないのですが、この貯蔵ボンベの重さが半端ではないので、あまり量を多く積めないのです。よって航続距離が伸ばせない。
水素による燃料電池も有望視されていますが、こちらも上記2つの問題がネックになっていて、なかなか普及に至りません。
でも燃料電池の場合は、コストが馬鹿高いのが一番の問題なのですけどね。
よく「普及が進んで量産されれば劇的に安くなる」ということが言われるのですが、燃料電池の胆である触媒は白金(しかも排ガスの触媒と異なり他の白金属では駄目で白金そのもの)が必要で、しかも現在車載用燃料電池に必要な量が、現在の白金相場で50万円に相当するそうです。量産しても白金は安くなりませんからね。使用量を減らす研究を盛んにしているようですが、1台分の使用量を減らしても生産量を確保するための奪い合いになって、却って高騰することになりますので、コストはまず下がりません。
でも何故かそういうこと判っていながら、知らんぷりして開発を進めているんだよなぁ。まあ白金ではなくもっと安く資源量が豊富な触媒が見つかれば別ですが。
念のためちょっと検索してみましたが、推定埋蔵量から計算して十分普及できる量が確保できるという説と、全く足りないという説と両方ありました。足りるというのが推進派の計算なのでしょうけど、埋蔵量と1台辺りの使用量がかなり理想的で現在の状況を無視した試算になっているようです。
現在の燃料電池では車1台につき100gが必要で、1000万台の車に搭載すると1000tの白金が必要です。白金の埋蔵量は7〜10万tだそうですが、1997年の世界の白金消費量は150tということです。
でもBMWは目新しいのはない模様。
既に発売済みのM3とか発表済みの1シリーズのクーペとか、それくらいのようです。X6も確か出ていると思います。
でも今週はそれとは全然別の話題です。
環境対策としてBMWは水素エンジンを推進しているのですが、水素エンジンの場合は問題が2つあります。
一つは水素をどうやって生産するか。今日とある雑誌を読んで知ったのですが、日本では製鉄その他の副産物として水素がかなり大量に生成されているそうなのです。その量は現在の車が全部水素燃料を使うようになっても余裕で賄えるのだとか。これが本当なら車に限らず、水素燃料への転換を推し進めるのがいいはずなのですが、そういう話を聞かないのは石油業界の圧力?
2つめは貯蔵の問題で、水素を液体化するには非常な低温度が必要ですので、高圧ガスとして貯蔵するしかないのですが、この貯蔵ボンベの重さが半端ではないので、あまり量を多く積めないのです。よって航続距離が伸ばせない。
水素による燃料電池も有望視されていますが、こちらも上記2つの問題がネックになっていて、なかなか普及に至りません。
でも燃料電池の場合は、コストが馬鹿高いのが一番の問題なのですけどね。
よく「普及が進んで量産されれば劇的に安くなる」ということが言われるのですが、燃料電池の胆である触媒は白金(しかも排ガスの触媒と異なり他の白金属では駄目で白金そのもの)が必要で、しかも現在車載用燃料電池に必要な量が、現在の白金相場で50万円に相当するそうです。量産しても白金は安くなりませんからね。使用量を減らす研究を盛んにしているようですが、1台分の使用量を減らしても生産量を確保するための奪い合いになって、却って高騰することになりますので、コストはまず下がりません。
でも何故かそういうこと判っていながら、知らんぷりして開発を進めているんだよなぁ。まあ白金ではなくもっと安く資源量が豊富な触媒が見つかれば別ですが。
念のためちょっと検索してみましたが、推定埋蔵量から計算して十分普及できる量が確保できるという説と、全く足りないという説と両方ありました。足りるというのが推進派の計算なのでしょうけど、埋蔵量と1台辺りの使用量がかなり理想的で現在の状況を無視した試算になっているようです。
現在の燃料電池では車1台につき100gが必要で、1000万台の車に搭載すると1000tの白金が必要です。白金の埋蔵量は7〜10万tだそうですが、1997年の世界の白金消費量は150tということです。
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