安部龍太郎氏の歴史解説書は何冊か読んでますが、小説の方はよくよく考えたら読んでないや。
その内に読まないといけないですね。
本書は各地の古い神社や遺跡を訪れ、その血の研究家や学者さん達に案内と説明して貰ったことを、氏なりに咀嚼して文章にしたものです。
雑誌の連載をまとめたものですが、テーマは「半島を行く」ということで、必然的に古代の海運に関わる場所が中心になっています。
あ、半島といっても、ここでは日本列島に付随する半島のことで、国際法を理解できない国のある半島ではないです。
個人的な古代日本の謎に、茨城県の鹿島神宮と千葉県の香取神社があります。
どちらも創建は非常に古く、藤原氏の初代ともいえる中臣鎌足は鹿島神宮の神職出身との説もあります。
ということは、大和政権は飛鳥時代の7世紀にはこの地にまで勢力を伸ばし、領土としていたことになります。
鹿島神宮の創建は神武天皇の頃と、社伝にはあるので、それを考えると大和政権がこの地まで勢力を伸ばしていたのは、かなり昔からであることになります。
その時代にそれだけ広い領土をどうやって統治していたのか?
それを考えると、古代の人々が列島各地を行き来するのは、考えられている程困難なことではなかったということになります。
どうやって移動していたのか。
人が移動するということは、単にA地点からB地点に移動する手段だけではなく、その間の食料や水の確保、ねぐらの確保、安全の確保などなどが必要なので、それをどうやって確保していたのか。
本書はその謎の参考に少しはなったような気がします。