2021年9月12日日曜日

悪の五輪 / 月村 了衛

先の東京輪舞は警察を主人公にしたものですが、こちらはやくざを主人公にして、昭和の東京オリンピックの裏側を暴く小説です。

今回の東京オリンピックも色々と裏の話が取りざたされていますが、昭和の方はもっともっときな臭い裏側が満載だったようで。
まあ当時はオリンピックに限らず、全ての物事でやくざの手を借りないと何も出来ないのが当たり前だったわけで。

今は暴力団組織排除がかなり進んで、そちらへの資金横流しはなくなりつつあるようですが、別の所へ流れるようになっただけで、実質はたぶん変わってないんでしょうけど。
何しろ、今の日本は合法的に(元)官僚が、公的資金を横領できる仕組みになってますからね。

 

東京輪舞 / 月村 了衛

昭和から平成にかけての大事件を追い掛けた小説です。
殆どは作者の想像なのでしょうけど、色々と裏の話が出回っている事件ばかりです。
政治絡みの話になると、警察/検察も追求しきれずにうやむやに終わってしまうのは、仕方がないんでしょうね。

検察は法的には国家公務員ではないですが、内閣が人事を決めるわけだし、給与や予算も議会で承認されて政府が出すわけだから、検察が内閣や議会と独立しているわけではないわけで。
そこに色々な闇が生まれてしまうと。

警察/検察だけでなく、政府の機関にはその活動をチャックする期間があるべきなのですが、日本には存在していないので、結局は政府の好き放題になってしまっています。
本来であればマスコミが、そのチェック機関の役割を持たなければいけないのでしょうけど、事実上日本のマスコミは政府の御用機関に成り下がってしまっていますからね。