2015年2月1日日曜日
哺乳類誕生 乳の獲得と進化の謎 驚異の器官がが生まれるまで / 酒井仙吉
本書の半ばまでは、地球に生命が誕生してからの進化についての話が延々と続いて、なかなか哺乳類も乳も出て来なくて、タイトルに偽りありか?と思い始めたところで、カモノハシが登場してやっと乳を分泌する話が始まりました。
まあ哺乳類が誕生するまでの説明をしたかったのは理解できますけど、本書のタイトルからすると前振りが長すぎるんでは?という気がします。
こういう本を読む人は、ある程度地球の生命体の進化についての知識はあるはずなので、一般的な話を延々と続けられると、同じような話を他の多数の本で読んでいるので、なんか同じことの繰り返しで嫌気が指すんですよね。
後半に入ってからの、乳を分泌するカモノハシ、有袋類、哺乳類の比較の話とか、ヒトの乳での保育の仕組みとかは、他では読めない興味深い話の連続なので、余計に前半の話はもっと手短にして、本書のタイトル関連の話を多くして欲しかったと思います。
ヒトの乳についてもかなり巧妙な仕組みが組み込まれていることは、進化の妙とはいえ、驚くべきことです。
日本人は牛乳を消化できないというのは割と知られた話ですが、哺乳類は乳を必要とする赤ん坊の時は乳(正確には主成分の乳糖)を消化する酵素が腸内に分泌されるのですが、成長するとその分泌が止まって乳糖を消化できないようになっているそうです。
しかし、白人系のヒトだけが成長しても乳糖の消化酵素の分泌が止まらず、大人になっても乳を飲んで栄養にすることができると。
つまり牛乳を飲めないのは、哺乳類として正常で、飲める方が例外なんだということですね。
ヒトは雑食性ですが、元々は肉食の消化系になっているそうで、しかし肉食だけだとビタミンCが不足するため果実などを食べるようになったとか。
ゴリラとオランウータンは果実が主食の植物食で、チンパンジーとボノボは果実中心に昆虫なども食べる雑食性、なのにヒトだけ元々は肉食性というのはなんでやねん?という気がしますが...類人猿は元々肉食なのが草食性に変わったのか、元々草食性なのがヒトだけ肉食性に変わったか。
いずれにしても消化器系はそれ程速く進化するとは思えないので、キツネザル−>猿−>類人類は基本草食なので、ヒトが肉食性の消化器を持っているというのはかなり不思議なことだと思います。
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