2020年8月27日木曜日

定説破りの日本古代史 “日本人"誕生の真実と証拠 / 山本 隆司



作者は弁護士の方だそうで、歴史の専門家ではありません。
逆に専門家ではない故に、(作者のいうところの)「渡来ドグマ」には冒されておらず、論理的に真実を見ることができるとのこと。
実際、本書に書かれていることは、最新の科学的なデータに基づいて論理的に議論を進められており、納得の行くものが多いです。

とはいえ、邪馬台国が大和地方であると主張される時に、方位や距離の問題はすっ飛ばして、発掘された遺跡のみで推理するのはいかがなものかと。
奈良県の大和地方が邪馬台国で、後のヤマト政権はその後継であるとするヤマト説の方々が、無視している問題に鯨文問題があります。
邪馬台国では、身分が上のものから下のものまで男子はすべて顔に入れ墨を入れている、と魏志倭人伝には明確に書かれています。
なので、ヤマト政権でもその習慣が残っていなければおかしいのですが、実際には大和地方には一切残っていません。
なので、まずこの問題を片付けないと大和地方に邪馬台国があったという主張は、空論になってしまうのです。

とはいえ、私が気になったのはこの問題についてくらいで、他は概ね賛同できることなので、他の歴史解説に比べると、極めてしっかりとした考証をされていると思います。

2020年8月25日火曜日

I-O DATA 4K モニター 31.5インチ EX-LD4K321VB



ここには書いてませんでしたが、4年程前にI-O DATAのHDモニターを買ってまして、その時は使っているMac miniがまだ4K未対応なのと、Adobe-RGB再現率の高いのは、非常にお高い値段のしかなかったので、27インチ HD(2K)解像度でsRGB100%再現性のモニターを購入していました。
今年の春から、武漢ウィルス問題で私もテレワークをすることになってのですが、貸与されたテレワーク用のノートPCだと画面が小さくて作業しにくいので、外部モニターとしてこいつをMac miniと兼用で使ってました。
当初は武漢ウィルス騒ぎが1ヶ月程度で収まるだろうという見込みで、テレワークはほんの一時的ということだったのですが、それが長引いて延長に継ぐ延長となっています。
Mac miniを置いている場所では座椅子にしていたので、長時間キーボードを打つには適しておらず、まだまだ続くならちゃんと椅子と机で作業するか、となったのですが、そうなるとモニターを新たに買わねばなりません。
買い替えるなら、最近は4K解像度でDCI-3P再現率の高いものが、安く出て来ているので、そちらにしようと。
で、今まで使っていた27インチHDモニターをテレワーク用にして、4KモニターをMac mini用にしました。
(その時点で使用してたMac miniは、先にも書いたとおり4K未対応なので、必然的にMac miniも…)


で、どれにするかでかなり悩んだのですが、これまで使っていたI-O DATAが調子よいので、4KモニターもI-O DATAのものにしました。
4K解像度になるので、これまでのHDと同じ27インチでは画面上の文字が小さすぎて見えなくなるんじゃないかと、なるべく大きなのにしたかったのですが、45インチとかではとても座椅子用のパソコンデスクに載せられない。ギリギリで32インチということで、インチ数は32インチに決まり。
VAパネルかIPSパネルかという選択肢については、写真のRAW現像をするためにDCI-3P(ほぼAdobeARGに等しい色域)をサポートしているのを選びたいので、お手頃価格ではVAパネルにするしかない。
ということで、本機になりました。
LGのNano IPSというのが、31.5インチ、4K、DCI-3P 98%再現率、Thunderbolt-3(USB Type-C)接続可能ということで、かなり悩んだんですが、値段がちょっとお高めだったり、販売しているところが限られていたりで、諦めました。

でも、表示は安定しているし、写真のRAW現像でも色はしっかりと綺麗に出るし、動画再生でもHDR対応なのでダイナミックレンジが広くて綺麗だし、値段も32インチモニターとしては休めだし、いいですよ。
写真を趣味にしていて、RAW現像をされる方には、お薦めです。

星系出雲の兵站―遠征― 5 / 林 譲治



4巻で「次回完結」と予告されていたのですが、その時はこの流れでどうやって終わることができるんだ?と不思議でしたが、見事に完結しました。
長々と引っ張って最後にドタバタの内に終わる小説も多いのですが、本作では兵站シリーズ4巻、遠征シリーズ4巻で数多く巻かれてきた布石が、本巻で一気にレンズの焦点に向かう光のように集まってきて、見事に話がまとまります。
この最後をしっかりと最初から描いていないと、こうも完璧な終わり方はできないと思います。
しっかりとプロットを練って、話の進め方を計画し、様々な資材を各方面から緻密な計画に基づいて運び込む兵站のように感じました。
あとがきに書かれていますが、本作に出て来た多くの人物、艦艇に名前を付け、矛盾なく登場退場するのをまとめるのは一苦労だったようです。

2020年8月23日日曜日

最終結論 「邪馬台国」はここにある / 長浜 浩明



長浜氏はこれまでも古代日本について、科学的な証拠を元に極めて論理的な推論に基づいて解き明かすことをされています。
時々暴走気味で、強引な類推に走ってないか?という部分もありますが、概ねキチンとした考証に基づいており、納得できるものが多いです。
が、本書はどうも、ご本人がこれまでの邪馬台国について「都合のいい部分だけを切り出し、都合の悪い部分だけを取り上げる」「強引な類推でこじつける」ことを批判されていることを、やってしまっているように感じました。

魏志倭人伝には
「その道・里を計るに、当に倭国は会稽、東治の東方にあり」
という一文があって、現在の福建省の東海上に邪馬台国があると書かれているわけですが、これをキチンと説明した邪馬台国論を見たことがありません。
本書ではこの一文を引用しているのですが、氏の特定した邪馬台国の位置と、この一文が合致しないことについてはスルーです。
帯方郡から邪馬台国まで1万2千余里とある距離を、氏が換算したkm数と先の一文も合致しませんが、そこもスルーです。

水行10日も、川を櫂で漕ぎながら遡航したとされているのですが、この時代に川を船で遡る時は舟に縄を掛けて両岸から人足が引きながら進むという説があり、恐らくそちらの方が合理的なはずで、恐らく氏はそういう舟の移動についての資料をご存じなかったのかなと。
また魏の使者が、途中で接待を受けながら進んだから、日にちの割に距離を稼げなかったという説も、他に唱える方がおられますが、もしそうであればそれに関することが何かしら書かれていてもしかるべきと思うのですが、魏志倭人伝にはそういう記載は一切ありません。
いうなればあくまで推測の域を出ないのですが、それを事実として推論の元にされているわけです。
あり得る話ではあっても、あくまで推論は推論でしかないので、ちょっとここは強引かなと。

まあ、そんな感じで、科学的理論的な考証を売りにする氏にしては、ちょっと筆が走りすぎてないか?という気がします。
この時代の列島における文化・文明度についての推測は、なるほどと思われるものも多いので、本書を読む価値はそれなりにあります。