江戸末期の日本画家で通称「絵金」と呼ばれた天才の生涯を、木下氏流に描いています。
帯に漫画家の西原理恵子氏が「私の知ちゅう絵金が全然ちがうで」驚いている自画像がありますが、漫画で小説の解説を書いていらっしゃいます。
小説の解説に漫画…初の試みではないですかね?
それはそうと、土佐が生んだ天才画家について、私はこれっぽちも知りませんで、これを読んで一度は土佐に残る絵金の作品を見に行かんと駄目やなと思いました。
デジタルアーカイブとかでは分からない、和紙に墨と日本古来の顔料を使い、日本古来の技法を独自の解釈で操った絵は、穂のかな和蝋燭の明かりでしか表現になっているそうなのです。
木下氏が得意とする、主人公を直接敵に描くのではなく、周辺の人を主人公にした短編小説の連作で、主題となる人物を描き出す手法で、本作も構成されています。
確かにこの技法の法が、人となりを理解しやすいように思います。
誰もがそうだと思いますが、人というのは、接する人によって感じ方が変わりますからね。