2018年7月10日火曜日
水戸黄門 天下の副編集長 / 月村 了衛
長寿テレビ番組で有名な水戸黄門漫遊記のパロディ小説です。
黄門様と介さん覚さんは、江戸後期に作られた漫遊記のキャラクタなので、パクっても問題はないでしょうけど、くノ一のお吟と風車の弥七はテレビシリーズの独自キャラクタだから、パクるのはやばくないか?
水戸黄門が藩主を引退後に国史編纂に力を入れていたのは、よく知られることですが、その編纂事業をネタに漫遊記をパロった小説です。
月村氏の小説は、シリアルなものが殆どで、こういうギャグ小説は初ではないかと思いますが…ふざけた筋を真面目な文体で綴っているのが、逆に面白さを引き立てて、あっという間に読み切ってしまいました。
2018年7月8日日曜日
決定版 邪馬台国の全解決 / 孫 栄健
著者の名前からすると中国系の方のようなのですが、日本在住で日本の出版社から何冊も著書を出されているようです。
歴史研究家のようですが、プログラミングの著書もあるようなので、コンピュータの知識もおありのようです。
そのせいか、本書で展開されている論は非常に論理的で緻密で、1つの物事を多角的な見方から検討して仮説の正否を検討されています。
在野のアマチュア歴史家のような思い込みと、不確かな証拠を元にすることもないし、推測に推測を重ねるような論法もありません。
中国の古代史を読み解くには、古代史各史を読み解き、その筆法と論法、文法を解き、文字の使い方をしっかりと理解する必要がある、という至極当たり前だけど、お偉い学者先生達が実際にはされていないことを、きちんと本書で説かれ、実践されています。
今まで読んだ邪馬台国の謎解きで、これ程納得がいく説明をされているものはなかったです。
歴史好きな人なら、内容の正否はともかく、一読しておかないと今後恥ずかしい思いをするのは間違いないと思います。
ただ1点だけ気になったのが、魏の皇帝から金印を下賜された周辺国の王は、倭国以外にも大勢いたはず、と推測されている点です。
魏志に書かれている中では、金印を下賜したのは倭国と月氏の国の二つだけ、というのを別の書で読んでいるのですが、本書ではそれには触れられておらず、たぶん他にも多くの王に金印を渡しているはず、という推測だけで書かれています。
他のことは、三国志全般に渡っての用例を細かく挙げて調べておられるのに、これだけは憶測と思い込みだけで書かれているのが、ちょっと納得がいかないですが。
まあ、これについては邪馬台国がどこにあったか?には影響しないことなのですが。
また深くは触れられていないのですが、邪馬台国の人びとは常に半裸で、顔に入れ墨があるというのですが、本書で推定されている邪馬台国の場所だと年中半裸でいるのは3世紀の気候でも無理じゃないのか?というのと、邪馬台国が後に大和政権になるのであれば、入れ墨の風習はどこでなくなったのか?が解決できていません。
まあ本書の目的は、古代中国史の筆法によって、所謂魏志倭人伝を読み解くことなので、この疑問に関しては、読み解いた後の問題なんですけどね。
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