2022年1月15日土曜日

縄文語の発見 / 小泉保

 本書は元々1997年に発刊されていますが、新装版として何回か再発刊をしているようです。
残念ながら、作者は既にお亡くなりのようなので、この後の研究で何か新発見があったのかはわかりません。

現代日本語は、少なくとも平安京/平城京時代には、ほぼ今の形が確立されていることは間違いないのですが、ではそこからどこまで遡れるかというと、弥生時代までだろうというのが通説だそうです。
しかし昨今の日本人や周辺地域の民族のDNA解析により、弥生文化は半島や大陸からの大量の移民によりもの、という幻想は否定されつつあります。
現代日本人はほぼ縄文人そのまま、というのが定説になりつつあります。
だとすれば、我々が話している言葉も、縄文時代から話されていた言葉が元になっていると考えるのが自然です。

単語を比較して、どこそこの言語の単語と共通性がある、というのは現代日本語のルーツを調べる上では殆ど意味がないことだと思っています。
というのも、我々日本人にしても、半島や大陸の人達にしても、使っている単語の殆ど(6割くらいといわれています)は、明治時代に欧州語の翻訳言葉として日本で創作された和製漢語です。
また平城京時代辺りから、漢文の読み下し文というのが入ってきて、その頃の漢語や唐語が日本語化した単語や慣用句が多く、一見大和言葉のように思えても実は漢語が元になった単語や言い回しだったりすることがあるからです。

本書ではアクセントや母音子音の音に注目して、縄文語を復元する試みをされています。
対象として選ばれている単語が、純粋な縄文語のまま伝わったものとも思えないのですが、発音やアクセントに痕跡が残っているという推測は、納得できます。

日本語の特殊性(世界中のどこにも似た言語が存在しない、孤立言語)を説明できるとすれば、1万年以上前から他から断絶した環境で育成されたということ、というのを以前別の書物で読んだことがありますが、本書での結論は、それによく一致しています。


彗星狩り : 星のパイロット2 (上・下) / 笹本 祐一

 

 

星のパイロット (創元SF文庫 さ 1-9)の続編です。
これも20年以上前に書かれたものだそうですが、今回の発刊に伴いかなり加筆修正をされたようです。
にしても、20年前に未来を予想して、これだけのものを書くというのは本当に大変です。
実際、世の中のなんちゃら評論家が未来予想したものを後から読むと、まあまず当たっていることの方が少ないです。少ないというか、まず全滅が普通。

宇宙開発が人類にとってどれくらい重要なことなのか、先進国各国の首脳達が理解できていれば、今頃は衛星軌道で地球を一周するのが、流行りの新婚旅行になっていてもおかしくはなかったんですけどね。