2015年8月8日土曜日

天皇はいつから天皇になったか? / 平林章仁



記紀の用語の使い方を綿密に調べて、天皇の権威の由来を明らかにしようとした研究書です。
「日御子」という用語は、古くから天皇(というか大王)に使われてきたように思っていたのですが、実際には極めて限定的(対象の人も時期も)であることを、始めて知りました。
何となく天皇家というと、太陽神を祖先しているように思い込んでいるのですが、この書を読むとどうも怪しそうで。
天照大神の由来も、実ははっきりしてないし、どこから出て来たかも曖昧。実際、天孫降臨の話も、記紀には異伝として天照大神ではなく、高皇産霊神が孫を降臨させたとされている説も出ているわけで。

まあ記紀というのは、天智天皇から権力を簒奪した天武天皇が、自己を正当化するために作成したといってもよいのと、天武系の皇子や天皇にのみ日御子という表現が使われていることから考えると、天武天皇の先祖こそ太陽神を崇める一族だったのかも。