黒岩 重吾 著 PHP文庫
神武東遷から大化の改新までを扱った、歴史解説書。
物語や小説ではなく、黒岩氏の古事記や日本書紀に対する見解を述べたエッセイというべきかな?
内容的には、通説からそれ程逸脱した解釈は、特にないように思います。
日本の古代史は好きで、この手のものをよく読んでいるのですが、皆さんどうも34世紀頃の日本の文化・文明レベルを低く見積もり過ぎているのではないかという気がします。
この本でも、邪馬台国に「一大卒」という中国の官僚制度に習った官位があることを認めながら、律令制度は「あるはずない」と言うのは、矛盾しているのではないかなと思ってしまいます。
先日読んだ「秦の始皇帝」においては、紀元前3世紀の秦国において、既に緻密な法制度が確立されていることが書かれています。
3世紀の日本の知識人が、秦の歴史を知らないはずはありませんし、知っているが故に「一大卒」がいるわけです。ならば、秦にならって法制度も整えていたと考える方が自然だと思うのですけどねぇ。法制度を整えずに階級制度だけ整えたというのも不自然だと思うのですが。
0 件のコメント:
コメントを投稿