2005年7月18日月曜日

中世の非人と遊女

講談社学術文庫刊 網野 善彦 著
純粋な歴史学の本です。
非人という差別階級がどういう状況で発生し、差別階級として扱われるようになっていったか、を解明しようとしています。
遊女が同列に並んでいるのは、元々非人も遊女も同じところから発生していると思われているからです。
元は天皇家というか神社に奉仕する一族が起源のようなのですが、それが非人として落とされていく過程がどうもはっきりとはしません。今後の研究によるのかもしれませんが、残念ながら作者は既にお亡くなりになっているので、別の方の研究を待つことになります。
面白いと思ったのは、非人のルーツになる一族に、皇居のお庭番と呼ばれる人達がいたらしいことです。その役割は、本来は庭園の維持管理なのですが、ずっと後の江戸時代に「公儀お庭番」と呼ばれた役職と同じものだった気配があります。むしろ、幕府が天皇家を真似て「お庭番」と呼んだのかも知れません。


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