ISO12800なんて高感度に何の意味がある?それよりも低感度側へ伸ばして標準でISO50に対応して欲しい。
というような意見を見掛けます。
そういう低感度が必要というのは、普段ピーカンの天気の昼間で絞りを開けた状態でしか撮影していないか、スタジオで大光量ストロボをズラッと並べた撮影でもしてるんでしょうかね?
スタジオだと、そういう撮影をするプロならD3Sなんか使わないで、D3Xか中判デジタルでしょうから、前者の人達なんでしょうか?
もし高感度になると、ダイナミックレンジが狭くなり、ノイズも増え、階調性も悪くなる、という心配をしているのなら、見当違いの批判だと思います。
ISO12800でライブハウスでの撮影をして来ましたが、D3のISO3200に匹敵するかそれ以上に広いダイナミックレンジと階調性を持っており、立体感はむしろD3SのISO12800の方が上ではないかとさえ思えるくらいです。
必要十分なダイナミックレンジ、階調性、立体感の再現性が確保できるのであれば、感度は高感度な方がいいに決まっています。
まあ低感度な方にも広がってくれれば、より嬉しいのは確かですが、両方同時に広げることは現在の技術では困難なため、どちら側に広げるかの選択になってしまいます。
銀塩時代は、ライブハウスの撮影だとISO800のネガでアンダー気味に撮影して、無理矢理焼いたりスキャンして、露出を起こしていました。それでもシャッター速度は1/8〜1/15secくらいしか確保できず、激しい動きのミュージシャンの被写ブレを動きの表現として使う撮影をするのに苦労していました。
D3になってISO3200で撮影できるようになり、スポットライトが当たっているところは、普通に撮影することができるようになり、動きを止めることで動きを表現する撮影が可能になりました。
今回D3SでISO12800の撮影ができるようになり、スポットライトが殆ど当たらないドラマーやキーボードの人は、ISO3200ではアンダー表現な写りしか得られなかったのですが、普通に写せるようになりました。
夜景撮影においても、20年くらい前から鎌倉や京都の神社仏閣では三脚/一脚の使用を禁止しているところが多く、近年京都や奈良で盛んに行われている夜のライトアップ撮影は手持ちで行う必要があります。手持ちで望遠系のレンズを使って、これらの夜景を撮影しようと思うと、最低でもISO3200と強力な手ぶれ防止が必要です。今回ISO12800が実用化されたことで、普通に手持ち撮影が可能になりました。
ポートレート撮影でも、大量の補助光源を用意する必要はなく、普通の室内の明かりで撮影が可能になります。「アベイラブル・ライト」が近年の流行ですが、そのためには高感度と広いダイナミックレンジが必要になり、D3/D3Sはそれを可能にする機材なのです。
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