マガジンXの「ニューカマー喜怒愛楽」と「ざ・総括」で新5シリーズが取り上げられています。同じ雑誌の記事ですが、評価は分かれていますね。「喜怒愛楽」の方は好意的で高い評価点が付けられていますが、「総括」の方はあまりいい評価ではありません。評価する視点が全然違うのですが、視点が違うと同じ車でも全く別の評価になるという好例でしょうね。なので、雑誌の論評を読む時は、1つの雑誌や評論家の評価記事を鵜呑みにせずに、色んな人や雑誌の評価を合わせて読まないと、いけないですね。
これまでのバングルコンセプトから抜け出したデザインは、大人しくて目立たなすぎる、という意見と、これが本来のBMWのデザインだ、という褒め称える意見とがみられます。
私個人的には、今回の5といい、ちょっと前に出た7といい、バングルからの脱却を意識し過ぎて、時代的に後退してしまった印象を持っています。
カーデザインの一番難しいところは、デザイナーが線を引いた時と実際に市販される時との、時間差が非常に大きいところにあると思っています。日本メーカーだとモデル寿命は4年くらいですが、欧州だと6〜8年からあり、更にBMWのようにセダン/クーペ/ツーリング/カブリオレを1年ずつずらして発売すると、シリーズ寿命は10年くらいになります。つまり開発当初からモデル末期までは15年くらいの時間差が生まれてしまうわけです。
更に更に、バングルコンセプトのようにメーカー全シリーズとなると、それが更に広がって、最初にコンセプトを始めてからだと20年くらいの時間差が生まれてしまいます。まあ実際にはバングル氏がBMWに入社してから退社するまでは15年くらいしかなかったのですが、バングルコンセプトによりデザインされたモデルが販売カタログから消えるまでは後数年は掛かるはずなので、そう当て外れな計算ではないでしょう。
バングル氏は、1990年代前半には2000年から2010年頃のカーデザイントレンドがどうなるかを予想して、バングルコンセプトを決めたはずで、実際のところBMW以外のメーカーがバングルコンセプトらしきデザインのモデルを発売して来ているので、当たってたのだろうなと思います。
が、BMWでのバングルコンセプトモデルは、時代のトレンドよりも早過ぎて売れなかったのではないかという気がします。売れ行きが悪い責任を取らされてバングル氏はBMWを去って、今のBMWはバングルコンセプトではないデザインを目指しています。代わりに、他のメーカーがバングルっぽいデザインを出し始めたと。
BMWの新しいデザインコンセプトが、10年先の2020年頃のデザイントレンドを目指して作られているのならいいのですが、5/7シリーズのデザインを見る感じでは、むしろ1990年代のデザインコンセプトに2000年代のデザイントレンドを被せたように見えます。だから新鮮みがなくてオーソドックスな雰囲気が漂い、だけれどもディテールは綺麗にまとまっているという感じになるのではないかと。
そういうデザインって、古びるのも早いはずなので、5年後くらいには古くさく見えてしまわないかなと。
この流れを考えると、BMWというメーカーは好きだけど、もう私がBMW車を買うことはないだろうなぁ。
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