TVアンテナから高周波電波を引っ張ってくる場合は、この同軸ケーブルでないとまともに伝送できないので、オーディオ帯域でもそのまま同様なケーブルが使われるようになったみたいです。
MHz領域の高周波伝送では、送り出し側の出力インピーダンスと受け側の入力インピーダンスと伝送路(つまりケーブル)のインピーダンスが一致していないと、反射波が発生して信号が乱れるからです。
そして伝送路のインピーダンスを、TVアンテナなどの50オーム、75オームに厳密に合わせるには、同軸ケーブルが必須になります。
インピーダンスが合った状態だと、真ん中の導線と外側のシールド導線の発生する電磁波が打ち消し合って、ケーブルの外側には電波が漏れず、かつ外来電波(つまり外から飛んでくる雑音電波)も打ち消されて雑音も乗らないというのも、同軸ケーブルが使われる理由です。
極初期のオーディオ伝送も、送り側と受け側と伝送路のインピーダンスを同じにした電力伝送が使われていたのですが、今では送り側のインピーダンスが低く、受け側のインピーダンスが高い、電圧伝送が主なので、同軸にしても先の同軸ケーブルの利点はないのです。
(こう書くと、エレキギターなんかのシールドも意味ないのかと突っ込みが来そうですが、エレキギターの場合はピックアップの出力インピーダンスが数十kオームから数百kオームというハイインピーダンス出力で、オーディオのローインピーダンス伝送とは全く話が別なのです。まあそれでも今の単芯の同軸シールドは意味ないと思うんですけどね)
なので、昔々自作オーディオに凝っていた頃は、CDプレイヤとパワーアンプの間を繫ぐのに、普通の配線用の電線を2本撚ったものを使ってました。
PC/MacにUSB DACを接続する時には、何気に適当に買って来たSONYのオーディオ用ケーブルを使っていたのですが、DAC Magic Plusを使うようになってから、どうもケーブルの音が原因で気に入った音になっていないんじゃないか?という気がして、ふと昔使っていた撚り線ケーブルを引っ張り出して来て繫いだところ...何でもっと早くこいつを使わなかったんだろう、と自分に嫌気が差しましたよ(苦笑)
そもそも未だに世の中は、何でオーディオ伝送に同軸ケーブルなんか使ってるんだろうか。
確かに外側を編み線で囲んだシールド形式は、ノイズから真ん中の導線を隔離してくれて外来ノイズのない綺麗な音になる、気がするのだけど。
でもね、信号というのは行ったままではなくて、戻って来るんですわ。
行きの真ん中の導線を通る電気信号はノイズがないかも知れないけど、戻りの外側のシールドにはノイズが乗って電気信号に乗るんですよ。
帰りに乗るだけなら送り先に伝わらないと思うのは間違いで、しっかり受け側にはそのまま伝わります。
シールドするのであれば、電気信号の行き帰りの2線をシールドしないと意味ないんです。
実際のところ、シールドのない撚り線を長く使ってましたが、ノイズが乗って困ったことはありません。
今も特にPCの雑音が乗っているような気配は一切なし。
まあそれでも20年前に作ったケーブルを使うのは、ちょっと精神衛生上よくない(銅なので中が酸化して音質が劣化している気がする)ので、新たに音のよさそうなケーブルを買って来ました。
ちなみに旧いのは、オーディオお友達に頼んで普通のエナメル銅線を、一昼夜300℃でアニールして貰ったものです。本当は380℃でするのがいいんだけど、そこまで高温槽の中の温度が上げられなくて限界が300℃だったのです。
今回は日本橋のパーツ屋さんで探して、今評判のクライオ処理(それもDCT処理という最新の方法で時間をかけて処理)を施した、エレキギター内部配線用(実売価格440円/m税抜き)を選びました。
極低温にすることで金属原子の配列を綺麗に整列させるという処理です。
RCAプラグは昔買ったオーディオ用(といっても1個数百円程度だったと思います)のを再利用しました。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjO4yn5073aen2vgG44Dztzwzrh3mvH7eUjb1_QaRJBkrW2SUH5ixuMwMjaASiV_uoFo1ZnzlRe6yjwCm51jraDoqsGAnFOJGMb9CZyfsWiyOgYRbEF0i7PGBkPTuGh5LUz6YCvJrz-FjL-/s320/audio_cable.jpg)
なかなかいい音です。
若干気になる部分もあるのですが、少なくとも旧い自作ケーブルよりはよくなりました。
メッキ線というのが原因なのか、線径が細いせいか。
メッキしていない7Nか8Nのケーブルが手に入ればいいんですけどね。
(2013/03/03 20:00追記)
MOGAMIのNEGLEX 2549というスタジオ用マイクロフォンケーブルとしては定番中の定番(らしい)のを買って来て、シールドを剥がして中の2芯だけを使って接続ケーブルを作ってみました。
音の出方はフラットで色づけも少なく非常に聴きやすい音なのですが、BELDEN DCT処理のに比べると音像が平板で妙につまらない音になってしまいました。
一晩悩んだ末、BELDEN DCT処理の方を一旦ばらして、配線材を半分に切って2芯パラにして(つまり伝導面積が倍になる)作り直したところ、高音に偏り気味だった音がちょうどいいバランスになり、音像の立体感や解像感はそのままという素晴らしい結果が得られました。
長さが半分になった効果もあると思いますが、ここまで思った通りの結果になるのは珍しいです。
BELDENの配線材そのものがいいのか、DCT処理がいいのか。
同じ型番の素のBELDENだとどうなるか興味が湧いてきてしまいました。
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