2014年3月1日土曜日

本能寺の変 431年目の真実 / 明智憲三郎



作者の明智氏は明智光秀の子孫の方だそうで、先祖の存念を晴らすというわけでもないでしょうが、光秀が何故謀反を起こしたのかに興味を持たれて、公家の日記を綿密に調査した結果を本書で発表されました。
元々は新書で発売された本能寺の変 四二七年目の真実に、その後の調査結果を加筆修正したのが、文庫の本書ということだそうです。

しっかりした調査内容だと思うのですが、氏が専門の歴史研究家ではないためか、歴史研究界からは本書は無視されているっぽいです。
まあ井沢氏の逆説の日本史も学会からは無視されまくってますし、日本の派閥主義は真実を説き明かすべき学会でも蔓延っていて、権威ある先生が言ったことを素人が口出ししても定説がひっくり返ることはないんですな。

しっかりとした裏付けに基づく推理をされていると思いますが、光秀が謀反を起こした動機としての結論は、どうかなぁというのが私個人的な感想です。
旧来の恨み説と五十歩百歩な気がします。
織田家の家臣では新参者ながらもっとも信頼され出世も一番早い(織田家家臣で城持ち国持ちになったのは、他を差し置いて明智光秀が最初)し、本書で如何に信長と光秀が仲がよかったかが協調されていることから考えて、我が子達や一族の行く末を心配してというのは根拠としてどうかなと。
なにより謀反を起こしてその後の行く末を考えた時に、どっちもどっちで、慎重で思慮深いとされる光秀が選択する方策としては、下の下ではないかと。

まあでも、それ以外の諸々の調査については、うんうん成る程確かにそうだよな、と思わされるものも多く、戦国時代の歴史に興味がある方には是非読んでおいて欲しい一書であることは確かです。

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