2016年1月23日土曜日

天野先生の「青色LEDの世界」 光る原理から最先端応用技術まで / 天野 浩, 福田 大展



青色LEDの開発でノーベル賞を受賞された天野博士の口述による、開発過程の回顧録と青色LED動作原理の解説書です。
青色LEDでは窒化ガリウムが使われているのですが、これで素直にLEDを作ると紫外線LEDになるそうです。
これはこれで殺菌灯や高密度記録などの用途があるのですが、青色LEDとするために様々な工夫をされ、やっと高輝度で安定な発光ができるようになるまでの苦労を綴られています。
青色LEDが廉価に大量生産できたことで、既に製品化されていた赤と緑のLEDと合わせて、白色LEDが実用化され、低消費電力の電灯が普及して今に至るわけですね。
この発明がなければ、今流行の夜のイルミネーションもこんなには盛んにならなかったでしょう。

天野博士は、次はこの窒化ガリウムを使って、広い周波数領域で発電できる太陽電池を開発されているそうです。
今のシリコンによる太陽電池は、太陽の周波数帯域が広い光の一部の周波数しか利用できておらず、そのために発電効率が低いのだとか。
青色LEDを発明したノウハウを使って、窒化ガリウムで太陽電池を作ると、低い周波数から高い周波数までの様々な周波数帯域で発電できる半導体が製作可能で、それを積層することで太陽の広い周波数領域の光を無駄なく使えるようになるそうで。
実用化されたら、再度のノーベル賞受賞もあるかも知れませんね。

0 件のコメント:

コメントを投稿