2016年12月3日土曜日

オービタル・クラウド / 藤井 太洋





基本的なアイデアは既に実用化されているものですが、実際にこれが実現可能かというと…どうなんでしょう?
キーになるスマホ基板を使っての部分で、基板上に「原子時計」が搭載されている、とか、衛星軌道上でGSP座標を取る、とか書かれているんですが、ここいらは作者の勘違いじゃないかと思います。

近未来とはいえ、原子時計が将来的にスマホ基板上に載る程小型化される見込みはないです。
今のスマホは基地局と携帯の電波で時刻同期している、一種の電波時計になっているので、原子時計並の精度も実現できているのですが、スマホ自体に原子時計が搭載されているわけではありません。
衛星軌道には地上の携帯基地局の電波は届かないので、時刻同期もできないですし。

またGPS座標を精度よく取得するためには、地上と衛星の重力と速度差による時間補正が必要なのですが、この補正は衛星側で行っているので、GSP受信側は地上でほぼ停止状態になることが前提になります。
(クルマや鉄道などの移動速度は、衛星の移動速度に比べる非常に遅いので、停止状態と誤差範囲内です)
なので、衛星軌道上で衛星速度で移動していると、こGSP送信側で行っている補正が、逆に誤差になってしまうのです。
それを逆補正する計算を行うにしても…スマホのCPUで足りるのかな?

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