2019年9月2日月曜日
ミトコンドリア・ミステリー―驚くべき細胞小器官の働き / 林 純一
ミトコンドリアを専門に研究されている方による、ミトコンドリアの研究成果を披露されている書です。
初版が2002年なので、もう結構古い本になるのですが、2018年4月に16刷と重版を重ねていますので、これよりもミトコンドリアについて詳しく書かれた書が他にはあまりないということでしょうね。
活性酸素によりDNAが傷付けられて癌になるという偽科学が巷で信じられていて、活性酸素に常に触れているミトコンドリアのDNA異常こと癌の原因、というようにずっと言われていたそうです。
林博士は、厳密な実験を繰り返し、ミトコンドリアが細胞癌化の原因ではないことを証明されます。
核DNAは一つの細胞に一組しかないから、核DNAが傷付いたら即細胞の異常に繋がります。
が、ミトコンドリアは一つの細胞内に何百とあるので、その内の数個が異常を来しても全体としては全く影響がないと。
そういわれたら、確かにそうですよね。
例えば会社組織で、役員会が異常を来したら即その会社の存続に関わりますが、末端の社員の一部が異常を来しても直ぐに他の社員が代わりを務めて正常に戻します。
そういうことを一つの細胞内で行われているんでしょうね。
この書ではDNA操作の実験が最初から最後まで続きます。
最初の方を読んでいて実験の困難さを説明されている項が続いていて「PCR法を使えば簡単にできるんじゃ?」と思っていたら、途中でPCRによるDNAの特定部分を大量増幅する手法が発明された記事が出て来ました。
PCRがまだ発明されていなかったのだから、使われてなくて当然ですね。
にしても、サーファーのマリオ博士の発明は、生物学の世界に正に革命をもたらしたというのが、本書でも繰り返し語られていました。
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