2019年11月20日水曜日
残酷な進化論: なぜ私たちは「不完全」なのか / 更科 功
別に残酷ではありませんでした。
進化というのは、つまるところ、その時利用できる遺伝子を使ってその場を取り繕う、ということを繰り返しているだけなので、屋上屋に屋上を重ねるような構造になるのは致し方ないです。
でもはっきりいって、今の人類が造り出しているソフトウェアのシステムとかハードウェアの設計なんかも、既存のものを騙し騙し流用して転用してぐちゃぐちゃな状態になっているのを考えると、生物の進化による(身体の)設計変更の方が遙かにスマートで合理的になっていると思います。
本書を読んでいて、結構「へぇ〜」と思うようなことが少なからずあり、まだまだ知っているようで知らないことがあるなと思いました。
人間の眼球が、視細胞の光を感じる側に神経細胞が張り巡らされていて、光を取り込む邪魔になっているのは、割と知られている話(面白いことにデジタルカメラの撮像素子も、当初は同じような構造)ですが、その方が眼球が小型にできるんだとか。
眼球が大きくなると頭が大きくなり重くなるので、鳥類なんかは断然不利になるんですよね。
人間も脳が大きくなって頭が重くなったので、少しでも軽くするために眼球が小さくなる方を選んだんでしょうかね?
日本人は牛乳の乳糖を消化する酵素が大人になると生成されなくなって、そのせいで牛乳を飲むとお腹がゴロゴロいうというのもよく知られていると思いますが、実は日本人でも成人しても乳糖の消化酵素が出続ける人が結構いるんだそうで。
また成人して乳糖消化酵素が出なくなる人でも、完全になくなるわけではなくて、幼児の1/10くらいは出るので、ヨーグルトやチーズは消化できるとか。
こういうのを聞くと、「日本人は昔から乳製品は食べていなかったから、一切取るべきではない」というのが、只の思い込みから来る嘘ってことになりますね。
まあ、そんな感じでなかなか面白かったです。
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