安部 龍太郎氏の歴史に関するコラム本は何冊か読んでいますが、小説はたぶん初めてです。
もっと歴史考証がキチンとされた小説を書くのかと想像していたのですが、細かい部分はどうなんだろう?というものもありますね。
大筋ではキチンと定説を押さえつつ、独自の視点での考証を盛り込まれていて、小説としても面白いし、この時代の背景についても概ねこんな感じだったのかなとは思いますので、細かい部分は話を進める上で仕方がないかなとは思います。
藤原京以前は、皇位が変わる毎に都も変わっていたのが、皇位が変わっても都を買えないことが基本になりました。
何故、唐風の都にしたのか、諸説ありますが未だに誰もが認める定説はなかったと思います。
藤原京を10年程度で捨てて、新たに平城京を築く理由も、未だに定説がありません。
本書での説は、私的に非常に納得の行くことで、この数十年前に新羅・唐連合軍(というか実質は唐の軍隊)と戦争状態にあったのに、その後はそんなことはなかったかのように唐皇帝への朝見を行っている謎なども、ここで示されていることで、成る程と膝を打つ思いでした。
藤原京から平城京への移転については、かなり前に読んだ明石散人氏の著書で「間違ったことに気が付いて、直すことにしたんだ」との説を唱えられていましたが、本書でも同様の見解を取られています。
0 件のコメント:
コメントを投稿