2021年5月23日日曜日

神を統べる者(三)-上宮聖徳法王誕生篇 / 荒山 徹

 三巻の後半、特に終わりの方を読んでいて、この展開でちゃんと3巻で終わるのか?と心配になりましたが、しっかりと終わりました。
結構、バタバタで無理くり感はありますが。

聖徳太子という人は、幼年から青年期には何をしていたのかが、実はちゃんとした記録がないんですよね。
摂政として登場する以前については、日本書紀にはしかとは述べられていません。
故に、大和地方から出て四国の道後温泉で療養しながら百済僧に仏法を習っていた、という説もあるくらいで。

本作では、中国大陸に渡り、更に印度亜大陸に渡りということになっています。
また中国では後に皇帝になる広と出会っていたことになっています。
この辺りは「日の昇る所の天子、日の沈むところの天子に」という国書の、親しみというか馴れ馴れしい物言いも理屈が通ります。
#とはいえ、そもそもそんな国書を実際に送ったのか?というのが不明(中国側の歴史にはそのような話は残っていないらしい)なのですが。

淡路島=淤能碁呂島というのは、ちょっと違和感があるのですが、伊邪那岐之命を祭る神社は、たぶん淡路島にしかなく、記紀にも伊邪那岐之命は淡路島でお隠れになったと明記されているので、淡路島に伊邪那岐之命が降臨されたときに携えてきた神器が、淡路島に眠っていても不思議はないですからね。

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