荘園の歴史を紐解き解説している書です。
かなり詳細な記録が残っているようで、具体的な荘園の場所、管理をしている人や所有している人達の名前が、ずらずらと出てきます。
これだけの古い記録がちゃんと残されているというのも、世界的にみても日本くらいなんでしょうね。
さて荘園ですが、中学の歴史教科書に書かれているのは、上辺だけというかほとんど嘘みたいなものなので、頭の中から消し去ってください。
奈良平城京時代や京都平安京時代の貴族を、戦後の共産主義かぶれが中世欧州の貴族と混同して思い込みで決めつけたものなので、まるっきり検討違いです。
荘園制度は、貴族が富を独占するためにあったと思われてますが、実際には税収入管理から生じたシステムで、時代によって細かくシステムが変わっていっており、本書を読むとその敬意の複雑さに頭が痛くなるくらいです。
こんなややこしいものを、きちんと整理して解説されている著者には頭が下がる思いです。
庶民が一方的に支配されていたわけではないことが、本書を読めばよく分かります。
しかし、口分田制度が崩壊したのは、あまりにも上手く行きすぎて、人口が急激に増えたために口分田が足りなくなったから、というのは初めて知りました。
人口が増えるのは、国民が安定して食べていけ、安心して暮らせるからなんですよね。
そういう意味で行くと、日本の歴史上、長期的に人口が減り続けているのは、現代が初めてで(戦争とか飢饉災害で短期的に減ったことはあっても、10年単位の長期的に見るとずっと一貫して増え続けていた)、今の日本の政治がどれだけ酷いかということの証でもあります。
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