タイトルを見て「ゾーンシステムは白黒撮影の時に使う物ではないのか?」と思われた方も多いかも知れません。確かに本来ゾーンシステムは、目の前の被写体の一番明るい所から一番暗い所までを全てフィルムに納めるには、フィルムとペーパーのコントラストをどう選択するか?というのが基本ではあります。しかしゾーンシステムは、目の前にある被写体のどの部分をどのゾーンとして撮影・再現するか、という方法論でもあります。ですから、目の前の被写体をカラーにおける5EVの範囲に如何に納めるか?というのが、カラーにおけるゾーンシステムになります。
#EVって何?という方は、フィルム選択に関して書かれている書籍を読んで見て下さい。単純に言えば、カラー(ネガ・ポジ共に)で再現できる、一番明るい部分と暗い部分の照度差は5EVまでで、それを超えると、真っ白或いは真っ黒になってしまうのです。
で、この5EVの中心が所謂18%グレーというものです。入射式の露出計で測ってその値通りに撮影すると、18%グレーがフィルムの再現できる5EVのちょうど真ん中の濃度で再現できるわけです。
で、一般に反射式の露出計は、測定している部分が18%グレーと仮定して測定値を出します。そして一般的に、人の肌は18%グレーと言われています。そのためポートレートを撮るときは、被写体のほほの辺りをスポット測光して、露出を決めることが多いです。でも実際には色の黒い人、白い人など様々ですし、肌をどれくらいの明るさに再現するかは、撮影者の好みです。ですから、入射式、反射式に関わらず、肌や着ている服をどういうイメージで再現するかを考慮して、測定値に補正を加える必要があります。
どのくらいの補正値が必要かは、撮影者自身が色々とデータを取って、決める必要があります。フィルムが変わると違いますし、レンズによっても変わりますから、ここで補正値はいくつにするといいということは言えません。+2EV〜−2EVの範囲で、+0.5EVづつくらい段階露出して見て、自分の好みの露出を探って下さい。
更にゾーンシステムの応用をするには、画面の中の一番明るい所、暗い所、被写体の明るさをスポットで測って、それぞれがどれくらいにあるのかを、知っておく必要があります。そしてそれが実際にフィルムにどう記録されるかを確認して下さい。
ちなみにカラーネガで撮影した場合は、プリント時に露出補正をされるので、DPEに出す時に「無補正で」と頼むといいでしょう。
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