2001年7月8日日曜日

ポートレートは大口径レンズを開放で

ポートレート撮影というと、世間では大口径の中望遠〜望遠レンズを使って開放で撮影する、というのは常識のように言われていますね。でもプロの写真家でそういう撮り方をする人はあまりいません。そもそも大口径レンズを開放で使うというのはどういうことでしょうか?
大口径レンズを開放で使うと、背景がボケて単純化されるのです。例えばサンニッパの開放でで半身を撮ると、背景がまずどんなところでもボケて潰れてしまいます。そしてボケて潰れた背景から、被写体が浮かび上がって来るわけですね。これは撮影者の技術には一切関係なく、大口径望遠レンズさえ買えば誰でもそういう写真を撮れるので、下手でも綺麗なポートレートを撮るには、非常に便利な方法です。逆にいえば、誰が撮っても同じ写真にしかなりませんので、プロは普通やりません。
気を付けて欲しいのは、「大口径望遠の開放で撮る」のは背景を単純化するための一手段であって、目的ではないことです。もっというと、「背景を単純化する」のは被写体を浮かび上がらせるためです。つまり被写体を浮かび上がらせることができれば、背景を単純化する必要もないし、大口径望遠レンズの開放で撮影する必要もありません。いつも間にか、目的を実現するための一手段が一人歩きしてしまっているんです。
とはいえ、背景処理ということが判っていない初心者が、手っ取り早く綺麗なポートレートを撮ろうと思えば、一番確実な方法ですから、流行るのも仕方がないかもしれませんけどね。けど本当に写真撮影がうまくなりたいのなら、やらないことです。背景処理の仕方をキチンと覚えたければ、むしろ広角〜標準レンズで、絞って撮るべきです。
背景処理の第一は「背景の単純化」ですが、その方法にはざっと下記のような方法があります。

1. 大口径望遠レンズを開放で使う
2. 背景紙を使う
3. 背景が単純な場所を探す
4. 被写体と背景の露出差の大きい場所を探す
5. 背景を画面に入れない

次回以降で、それぞれの意味と具体的な撮影方法を示しますので、それまでにこれどういう意味か考えて見て下さい。


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