PHP文庫刊 小川 由秋 著
南総の里見家というと、滝沢馬琴の八犬伝のイメージが強いせいか、戦国時代の里見家を主人公とした小説は少ないと思います。
作者もそれを感じていて、敢えて里見家の興亡を描こうと思われたようです。
里見家は清和源氏の新田氏の直系だそうで、安房を領国として獲得した義実を初代とし、義堯は5代目の当主になるそうです。
小田原の北条家が関東の覇権を狙って、武田氏、上杉氏、佐竹氏などなど関東の大名と競い合っていた頃の物語で、常に北条との戦に明け暮れていたようです。
里見家は徳川の世になってから、廃嫡の憂き目にあっていますが、偽の系図で源氏を名乗った徳川家にしてみれば、源氏の嫡流である里見家は目の上のたんこぶだったのかもしれません。
ちなみに江戸時代の最後まで大名家として残っていた源氏は佐竹氏だけですが、佐竹氏も途中で藤原氏を婿養子としていますので、実際に男系が途切れることなく続いた源氏の大名は、里見氏で最後だったのかも知れません。
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