2006年9月9日土曜日

パプリカ / 筒井 康隆



筒井氏が一度断筆宣言をされる直前の長編小説です。SFっぽさも入ってますが、正調筒井康隆節の小説です。
初期の頃から、筒井氏の作品では人間の精神、取り分け正気と狂気をテーマというかモチーフというかに取り上げたものが多いのですが、本作もまさしく人の狂気が主題になっています。
こういうテーマを、表面上は深刻ではなく軽いタッチで書きつつ、しかししっかりと読む人の心に突き刺さる作風は、天才にしか書けないだろうなと思わされます。

そういえば大学生の頃に、「筒井康隆を10冊読むと気が狂う」という都市伝説を、先輩から教わったのですが、10冊以上読んだ方は、どうでしたでしょうか?
私は、それを教わった時はまだそのちょっと手前の冊数しか読んでいなかったのですが、もう既にそれを疾うに越えてしまっています。


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