今週もネタがないのですが、GENROQに掲載されている次期M3搭載のV8 4LエンジンS65B40のお話でもしましょう。
基本的にはM5/6に搭載のV10 5LのS85B50から2気筒取り去って、V8にしているわけですが、改良点もいくつかあります。
一番大きいのが、カムチェーンがシングルからダブルに変更になったことでしょうね。ちなみにGENROQの記事では「S85B50のVANOSはシングル」となってますが、これは間違いでダブルVANOSです。
それ以外はほぼそのままではないかと思われます。
エンジンブロックはアルミ鋳造ですが、生産性が低いが剛性に優れるクローズド・デッキになっています。冷却水はヘッドの吸気側から入って、ブロックに流れていくように見えます。ちょっとこの水の流れ方だと、吸気側と排気側で温度差が大きくなるような気がしますが...どうなんでしょうね。
S85B50はシリコン17%の過共晶アルミ合金で、シリンダ壁は過結晶したシリコン粒でピストンとの摩擦から守られるタイプになっていましたが、S65B40もそれをそのまま継承しているようです。シリンダーライナーが不要になることで、温度変化によるシリンダの寸法変化によるトラブルが少なくなりますので、フェラーリやポルシェなども、この手法を使用しているのです。反面、過結晶シリコンが加工の邪魔をする(めちゃくちゃ硬いので、加工器の刃物がすぐに駄目になる)ため、製造価格が高いという欠点があります。まあMという小数生産の高価格車なので、コストよりも性能を重視して採用されているということでしょう。
クランクシャフトが90度クランクになっていて、各バンクでは不等長感覚の点火タイミングになるのですが、エンジンの振動そのものは少なくなるので、パワーよりも静粛性を取った形ですね。Mっぽくないですけど、それでもリッター馬力が100を超えているので、不等長爆発間隔でも、パワーを確保できるようになったということでしょう。
またバランスウェブは、外側のものが厚みがあり、内側のが薄くなっています。これは気筒毎にクランクメタルに掛かる圧が均一になるために、こうなっています。でもこれの設計をするには、かなりの計算が必要なはずですが、BMWも世界トップレベルのスパコンを導入しているということなのでしょうね。まあF1やるならそれくらいのものは必要ですけどね。恐らくは、V8になったF1のクランク設計技術がそのまま採用されているのではないかと思われます。
写真が小さくて判断が付かない部分が多いのですが、私が気が付いたのはざっとこんなところです。
ほんとにこのエンジンから片バンクの4気筒切り取って、家のtiに載せたくなります。
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