2008年6月27日金曜日

蓮如―本願寺王国を築いた巨人 / 大谷 晃一



ちょっと古い本なのですが、大阪城の基になった石山本願寺を築いた人がどういう人かを知りたかったので、買って見ました。
浄土真宗は当時主に三派に分かれていて、蓮如は親鸞直系の血統が宗主を引き継ぐ本願寺派の跡取りとして生を受け、衰退していた本願寺派を浄土真宗の中で最大にし、更には日本で最大の宗教団体にした方です。現在も浄土真宗といえば、この本願寺派が中心でしょうね。
大阪の地名も、元々緩やかな長い坂が続く小山を「おさか」と呼ばれていて、「小坂」とか「大坂」とか書いたのを「大坂」に決め、「詩に詠むときゴロがよい」という理由で「おおさか」と呼ばせるように決めたのも蓮如だそうです。

浄土真宗は僧でも妻帯して子供も設けることが許されているのですが、生涯で5人の妻を娶り、27人の子供を儲けたというのは凄いなと。しかも最後の子供は84歳の時に50歳年下の妻に産ませているし。ちなみに最初と2番目の妻は、子供の産み過ぎで過労死したっぽいです。でもちゃんと結婚した妻以外には子供を儲けていないから、その辺のけじめはちゃんとしていたのでしょうね。

本願寺派は多数の信者を抱えはしましたが、本書では蓮如が「本当の信心を得た信者がいない」ことをずっと苦にしていたということになっています。仏教というのは輪廻の枠から外れるために悟りを得ることを目的としているわけですし、浄土真宗にしても「阿弥陀如来の浄土に成仏させて戴く」のが目的で、「現世利益」など一つもありません。しかし人々は「現世利益」をひたすらに求める。或いは来世を金で買おうとする。
蓮如は亡くなる直前に、息子達に跡取り問題で喧嘩をしないように誓約させるのですが、結局後の代に跡取り問題が発生し、今でも本願寺派は東本願寺と西本願寺に別れたままです。



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