2010年12月23日木曜日

卑弥呼の正体 虚構の楼閣に立つ「邪馬台」国 / 山形明郷



先日購読した古代史犯罪―邪馬台国論争と「バカの壁」の前に書かれた、山形氏の著書です。
内容的には「古代史犯罪」と同じですが、小論文をまとめた「古代史犯罪」とは異なり、きちんと1冊として論がまとめられているので、こちらの方が読みやすく理解しやすいように話が書き進められています。
ただ、題名の「卑弥呼の正体」と内容は、実は一致しておらず、卑弥呼についてはほとんど触れられていません。邪馬台国が日本列島にあったのではない、という論に終始していて、では邪馬台国の正体は?については、著者も結論までは至っていません。
古代朝鮮、前三韓と呼ばれる国についてや、楽浪郡、帯方郡については、弁説明快で、古代中国の様々な資料から読み解かれたことを、確固たる自信に満ちて語られているのですが、事が「倭」や「邪馬台国」になると、元々古代中国の資料もほとんどないせいか、曖昧な憶測が多くなるように感じられました。
とはいえ、元々の古代中国の資料自体も曖昧ですし、現代に残り伝わる「三国志」も、十世紀頃に清書された写本だそうなので、実際の所、想像する以外に手立てがないということもあるのでしょうけど。
それにしても、著者が既にお亡くなりになられていることが残念でなりません。

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