2011年1月7日金曜日

ARMがCPUマーケットを支配する日

かれこれ20年くらい前は、ハイエンドのWorkstation用のRISC CPUが百花繚乱で、CISC CPUの代表であるIntelのx86系は風前の灯火のように云われたものでした。しかしIntelは内部構造はRISC系にすることと、プロセスルールの改善による高クロック化により、ハイエンドなRISC CPUと同等な性能をx86でも出せるようにして、かつ同等性能のRISC CPUよりも非常に低価格で販売することで、Alpha、PA-RISCなどを開発中止に追い込み、PowerやSPARCなどが風前の灯火状態に追いやられています。MIPSもハイエンドを狙うのを諦めて、組込用途を狙っているようですが、この分野はARMが支配的で、MIPSが躍進できそうにはありません。
現在では、組込用途や携帯端末はARMがほとんどで、PC/Workstation/Server類はx86がシェアのほとんどを占めています。
iPadを契機として、Android OSを使用したタブレット型携帯端末が盛んに開発・発売されつつありますが、そのほとんどがCPUにARMを使用しています。更にARMはより高性能でマルチコアなモデルを発表しており、Microsoftが次期WindowsをARMでも動作させることを発表しましたので、数年後にはARM CPU搭載のPCが登場してくることになります。
マルチコアでも低消費電力であることを武器に、Server市場にも進出することを狙っているようです。
ARMは実際に半導体を開発設計製造するメーカーにライセンスを売るだけで、自社ではCPUそのものを販売していません。それ故に、何百社というメーカーがライセンス契約をし、自社の製品に合わせてカスタマイズしたCPUを制作して搭載しています。
x86系CPUの場合は完成品を買うしかなく、CPUに合わせて製品を作らなければなりませんし、 製品を売れば売る程IntelやAMDを儲けさせるだけという構図になっています。
となると、製品メーカーとしてはWin-Win関係になれるARMと、独占的なIntelとどちらを選ぶかというとARMを選ぶことになるでしょうね。
ARMの躍進に危機感を抱いたIntelは、Atomという低価格プロセッサを開発し、組込用途も視野に入れていますが、先の理由でほとんどのメーカーはARMを選ぶことになるでしょうね。
MS-Windows以外の主要なOSは、ほとんどがARMに対応しているのですが、これでMS-WindowsがARMで動作するようになれば、ハイエンド以外はx86にする理由がなくなりますからね。
気が付けば、世の中はARMに支配されていた、という日も近いようです。

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