5年くらい前までは、半導体露光装置のシェアはキヤノンが圧倒的で、ニコンとオランダのASMLがそれに続いていました。しかし、液浸露光というレンズとシリコンウェハーの間を液体(純水)で満たして、より微細な回路露光を行う技術開発に、キヤノンは出遅れ、ニコンは最初に製品化したものの性能の安定化で遅れを取り、現在はASMLがシェアトップに躍り出ています。
年末に、東芝がFlashメモリ製造の次世代半導体露光装置をASMLに発注したという記事が出ていました。これまではニコンの露光装置を使用していたのですが、日本の大手企業から受注できなかったというのは、ニコンに取っては痛手でしょう。
東芝がASMLに発注したのは、EUV露光という液浸よりも更に微細な回路の露光が可能な技術なのですが、実際にはまだこの技術で量産が可能かどうかが確立されていないという話もあります。とはいえ実際にEUV露光装置を使っての製造が始まるのは、後2年くらい先のことなので、それまでには解決されるのでしょうけどね。
で、ASMLの半導体露光装置の光学機器部分(単純にいうとレンズとその周辺)は、Carl Zeissが開発・製造し、ASMLへ供給しています。十数年前までは、Carl Zeissも独自に半導体露光装置を開発・製造・販売していたのですが、キヤノンの攻勢に耐えきれず、それまでライバル同士だったASMLと手を結び、光学部分をCarl Zeissが、制御部分と装置全体の開発をASMLが担当することになり、その成果が現在出て来ているというわけです。
キヤノンは液浸を諦めて、一足飛びでEUV露光装置の開発を行っているようですが、EUV露光装置は非常に高価なものになるため、これを導入できる半導体製造メーカーは限られており、東芝がASMLに決めたとなると、キヤノンやニコンの出番は非常に限られてしまったと思われます。
恐らく次世代の半導体の製造は、ほとんどがCarl Zeissレンズで行われることになるでしょう。
また更に次の世代となると、果たしてどこか出てくるか。
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