2011年8月9日火曜日

美しきもの見し人は / 篠田真由美



「美しき」と書いて「うるわしき」と読むそうです。本来の読み方ではありませんが、明治だか大正辺りにドイツの詩を訳したものの一編らしいですが...詩は読まないですから、原典は誰のどういう詩なのか判りません。
隠れキリシタンが題材というか話の主題というか、信仰が中心になってのミステリーです。
主人公が、戦国時代の日本人が殉教を押しつけるような宗教に大勢入信したということが、信じられないと語るシーンがあります。たぶん、それは作者の思いなんでしょう。
しかし当時、キリスト教信者で殉教した人達よりも、遙かに多くの人が浄土宗のご門跡に従って極楽行きを果たしたことを考えれば、来世での幸せを約束してくれるキリスト教は、魅力的なものに写ったのではないかと思います。

さて本作はミステリーなので、犯人捜しが好きな人にお奨めかどうかが、本作の良否を決めるキーになると思うのですが、その点はちょっと微妙かなぁ。種明かしに来るまでに、犯人の決め手になるヒントがきちんと作中に散りばめられているかというと、そうでもないです。じっくりと繰り返して読めば、ヒントはきちんと書かれているのかなぁ。
まあ私みたいに一気に読み流してしまう人には、推理は無理ですね。

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