2013年8月15日木曜日

デザイナーベイビー / 岡井崇



デザイナーベイビー〔下〕 (ハヤカワ文庫JA)

遺伝子操作が可能になりつつある昨今ですが、体外受精では受精した卵子の遺伝子を検査して選別することも実際に行われていて、更には妊娠初期に遺伝子検査を行って人工中絶を行うことも実際に行われています。
日本では年々結婚年齢が高くなり、よって出産年齢も高くなっているわけですが、妊婦の年齢が高くなると胎児がダウン症になる確率がかなり高くなるため、結果的に日本でのダウン症の子供が増えつつあるのです。
(ダウン症は21番目の染色体が通常の2本ではなく3本になってしまい、21番目の遺伝子が正常に働かないという染色体異常症状です。何故21番目だけかというと、たぶんそれ以外の染色体が3本になった場合は、正常な細胞分裂が行われずに、妊娠初期に胎児というか卵子が死んでしまって出産まで至らないからだと思います)

本書は体外受精をテーマにしつつ、日本ではそれに関連する法整備が全くなされておらず、放置状態になっている現状を憂いた作品と言えるかも知れません。
日本の医療技術は世界的にも進んでいる方だと思いますが、技術開発に必要な予算確保や法整備が駄目駄目な状態です。
(まあ日本の官僚は自分の利権にしか興味ないからね)
米国の医療界の状況がいいとは思いませんが、事が起こってからしか動かない日本の官僚に任せていたら、すぐに日本は医療後進国になってしまいますな。

0 件のコメント:

コメントを投稿