著者は医学博士で、要するに本業はお医者さんです。
医学博士が、科学の視点で魏志倭人伝を読み解くという趣旨の本です。
途中までは非常にロジカルな推論と科学的な根拠を元に、キチンと論理立てた論拠が進んでいっていて、納得のできるものになっています。
水行の一日辺りの距離と陸行一月の距離は、いくら古代の船や山中の行軍だとしても、短すぎやしないか?と思うのですが、距離の試算の元はきちんと論理だっているので、反証もできんのですけどね。
しかし、最後の方は打って変わって、推論と呼ぶにはあまりにも根拠のない「であろう」論が続きます。
いや根拠がないというのは言い過ぎですが、証拠というのはちょっと心許ないものが多くなるのと、ちょっとこじつけ過ぎる推論も増えてきます。
証拠となる史料がほとんどなく、物証となるものもあまりないので、この点は誰がやっても同じようになってしまうのですけどね。
いずれにしても、歴史学者ではない方の冷静な視点での解析で、しっかりとした考察になっていると思います。
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