2014年12月21日日曜日

信長の血脈 / 加藤廣



加藤氏の代表作である本能寺三部作の短編外伝4編を収めた短編集です。

信長と兄弟の生年が記録にないという話は、初めて聞きました。
跡継ぎを長幼の順で決めさせないために、父である信秀がわざと記録を消させた、というのはあり得る話ではありますね。
加藤氏はかなり信長を嫌っていたように思っていましたが、「平手政秀の証」を読むと、嫌っているのは信長ではなく、信長を稀代の天才扱いする従来説とそれを盲信する人達のようです。

現代の常識や感覚と、戦国時代から江戸初期の常識や感覚というのは、全然違っていて、現代の常識で判断すると全く見当違いの解釈をしてしまいます。
それを知らない人が多いのですが、加藤氏は当時の人々の常識や感覚がどうであったかを、綿密な史料に基づき解析し、それに従って歴史の解釈をされています。
こういう手法で解釈と推理を行うのは当然だと思うのですが、今までの一般的な解釈とは異なった結果を加藤氏が出しているのは、これまで様々な専門家や研究家を始めとして、小説家やアマチュア研究者などを含めて、そういう至極当たり前のことをやって来なかったということなのでしょうか?

まあそういう堅苦しいことを抜きにしても、愉しめる一書です。

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